2019年05月02日
ドント・ウォーリー(原題:Don’t Worry, He Won’t Get Far on Foot)
監督・脚本・編集:ガス・ヴァン・サント
原作:ジョン・キャラハン
音楽:ダニー・エルフマン
出演:ホアキン・フェニックス、ジョナ・ヒル、ルーニー・マーラ、ジャック・ブラック
アルコールに頼る日々を過ごしていたジョン・キャラハン(ホアキン・フェニックス)は、自動車事故に遭い一命を取り留めるが、胸から下が麻痺し、車いす生活を余儀なくされる。絶望と苛立ちの中、ますます酒に溺れ、周囲とぶつかる自暴自棄な毎日。だが幾つかのきっかけから自分を憐れむことを止めた彼は、過去から自由になる強さを得ていく。そして、持ち前の辛辣なユーモアを発揮して不自由な手で風刺漫画を描き始める。人生を築き始めた彼のそばにはずっと、彼を好きでい続ける、かけがえのない人たちがいた・・・。
交通事故によって車椅子生活を余儀なくされたジョン・キャラハンが風刺漫画家として自立するまでを描いた作品、だと思っていたのだが、それは1つの側面に過ぎなかった。本作の大きなテーマは“許し”。実の母親に捨てられ、養父母に受け入れられていない(と思いこんだ)ため、自己肯定感を持てずにアルコールに逃避したジョンが他者を許し、自分を許せるようになるまでを描いている。
本作を見るまでは、映画『こんな 夜更けにバナナかよ 愛しき実話』の筋ジストロフィーを患い、毒舌を吐きながら車椅子生活を送っている主人公・鹿野靖明と似ているのではないかと思っていた。しかし、鹿野は親に愛され、その愛を知っているがゆえに親の幸せを願って独立した生活をする。ボランティアには気を遣わせないよう、わがままに見えるくらい強く、自分の要望を主張する。作品の中で変わっていくのは鹿野ではなく、ボランティアたちだった。
愛されているという実感を持っているかどうかでこんなにも違うのか。子を持つ身として深く考えさせられた。(堀)
公開を前に来日したガス・ヴァン・サント監督のティーチインイベントのレポート記事はこちらからご覧ください。
全身まひと宣告され絶望しているジョンに、恋人が「今がどん底ならそれ以上悪くはならないね」てなことを言う場面がありました。そういう人たちががっちりとジョンを支えていきます。もとはといえばさんざん酔っ払った末の自動車事故なんですが。
アメリカ映画ではよく飲酒運転の場面が出てきます。日本みたいに厳しくないの?車がないと困る広大な国だし、お酒の1杯くらい大目に見るのか?とネットを調べたら、血中アルコール度0.08%以下ならOKなんだそうです。ビールやワイン1杯消化?するのに1時間くらいだそうで(個人差あり)飲んだ量と時間をみて運転しちゃうらしい。と在住の方のブログで読みました。しかしオーバーしたら罰則は日本より厳しいし、事故にあいたくはないので、最近はuberとかLyftとか、車を呼べるサービスがヒットしたんだとか。
蛇足情報でしたが、そんなシステムがまだなかったころのジョンと飲み仲間のデクスター、人生がすっかり変わってしまいました。周りの支援があってこそですが、本人の意思が一番なのはいうまでもありません。ホアキン・フェニックスはじめ俳優陣の説得力ある演技に魅了されます。ジョンの漫画はシンプルで辛辣でユーモアがあって素敵。(白)
映画『ドント・ウォーリー』劇場マナーCM
タイトルにかけて、「Don't撮影」「Don'tタバコ」など、主人公演じるホアキン・フェニックスの様々なシーンを盛り込んだ劇場用マナーCMが作られた。作品の世界観とCMが訴える内容がぴったり!
2018年/アメリカ/英語/115分/カラー/PG12
配給:東京テアトル
© 2018 AMAZON CONTENT SERVICES LLC
公式サイト:http://www.dontworry-movie.com/
★2019年5月3日(金・祝)にヒューマントラストシネマ有楽町・ヒューマントラストシネマ渋谷・新宿武蔵野館他にて公開