2019年05月28日

さよならくちびる

sayonarakuchibiru.jpg

監督・原案・脚本:塩田明彦
撮影:四宮秀俊
照明: 秋山恵二郎
音楽プロデューサー: 北原京子
音楽:きだしゅんすけ
出演:小松菜奈、門脇麦、成田凌、篠山輝信、松本まりか、新谷ゆづみ、日髙麻鈴、青柳尊哉、松浦祐也、篠原ゆき子、マキタスポーツ

バイト先で知り合ったレオ(小松菜奈)とハル(門脇麦)は女性ギター・デュオ「ハルレオ」を結成。路上で歌ううちに少しずつ人気が出始め、ライブツアーに出ることに。ローディ兼マネージャーとしてシマ(成田凌)が加わることとなる。地方ライブの集客も増え、若い女性を中心にさらに人気が広がっていくが、歌詞にしか書けないハルの真実と、歌声でしか出せないレオの想い、隠していたシマの本音も露わになる。やがて3人が出した答えは“解散”。すれ違う思いをぶつけ合って生まれた曲「さよならくちびる」を携え、3人は、北海道・函館で開くラストライブへと向かう。

1.jpg
© 2019「さよならくちびる」製作委員会 


解散を隠してのライブツアー。観客が喜べば喜ぶほど、本人たちはしんどいだろう。しかも、相手に伝えられない、抱える想いもある。複雑な心境を小松菜奈、門脇麦は言葉に出さず、表情と雰囲気で伝える。しかも、小松菜奈、門脇麦の歌がうまい! ライブシーンは観客になった気分で聴き入ってしまった。
この作品では小松菜奈の髪形が時期によって大きく変化する。長い髪のイメージが強かったが、ショートもなかなかいけると思った。(堀)



4.jpg
© 2019「さよならくちびる」製作委員会 

音楽+青春映画&男1人女2人。キャストの3人も好きな俳優さんたち。ほーほー、誰がカップルになるのかなと思ったら、最初っから解散の話で恋も愛もなかなか進みません。解散ツアーで全国を縦断し、その間に3人の感情が少しずつ漏れ出てきます。それぞれに色っぽい俳優なので、ちょっとしたしぐさにドッキリします。作中で歌われる曲がとても良くて、ハルレオの2人がほんとに作ったかのようにはまっています。ギター初心者なのに監督が無茶ぶりして妥協を許さず、必死で仕上げたそうですが、ライブシーンではそんな苦労を見せず、堂々とした歌いっぷり。耳に残ります。(白)

3.jpg
© 2019「さよならくちびる」製作委員会 

塩田明彦監督の『カナリア』は大好きです。最新作のコチラは所謂、音楽ロードムービー …三角関係のコイバナに秦基博さんと、あいみょんさんの音楽が混ざってオシャレな感じに。今、親戚の男子も音楽専門学校時代の同級生と組み、男性コーラス・デュオで、武道館を目指して音楽修行中なので、なんちゃってレズカップルの「ハルレオ」に親戚男子の姿がカブリました。おばちゃん応援してるから、さよなら(=解散)になりませんように… それにタバコは喉に悪いから歌う人は吸わないほうが賢明かと…コウルサイおばちゃんだな私、反省。兎にも角にも、どんな時も 音楽には人を癒すチカラがあると、やっぱり実感します。 (千)




© 2019「さよならくちびる」製作委員会 
2019年/日本/カラー/116分
配給:ギャガ
公式サイト:https://gaga.ne.jp/kuchibiru/
★2019年5月31日(金)全国ロードショー

posted by ほりきみき at 23:43| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年05月26日

僕はイエス様が嫌い (英題『JESUS』)

15588361681080.jpg



監督:監督・撮影・脚本・編集:奥山大史
出演:佐藤結良、大熊理樹、チャド・マレーン、木引優子、佐伯日菜子、ただのあっ子、二瓶鮫一、秋山建一、大迫一平、北山雅康

祖母と暮らすことになった少年ユラは、東京から地方のミッション系の小学校に転校する。毎日の礼拝に困惑する彼の前に、とても小さなイエス様が姿を現す。ユラ以外の人には見えないが、いつも彼の願いをかなえてくれるイエス様をようやく信じかけた矢先、彼に苦難が降り掛かる。

今年の邦画暫定ベストワン!と絶推ししたい作品をご紹介できるのが嬉しくて堪らない。しかも本作が監督デビュー、若干22歳の新鋭なのだ。脚本、編集も手掛け、特に撮影は絶品である。序盤、学校にある鳥小屋の場面では禽獣の“匂い”が明確に漂ってきた時の衝撃は忘れ難い。

ワンカット長回し、フィックス(固定)画像の清冽な美しさは偶然の産物ではなく、綿密に計算されたものであることがわかる。子役たちの自然な演技を引き出すための巧妙な技法なのだ。
大学在学中の卒業制作に有りがちな生硬さはそこには観られない。

祖父の仏壇に手を合わせる姿、学校の教会に差し込む光線、白雪でサッカーボールを蹴る子供たちの弾けた笑顔·····。

一つ一つ丁寧に紡がれた静謐且つ簡潔な描写は、対象との距離感が正確に保たれている故にほかならない。

それだけに少年が感情を爆発させる、ほんの一瞬の行為が観客に衝撃を与え得るスパイスとして見事な効果を発揮するのだ。これら洗練を極めた作風の全てが監督の頭で構築されたことを想像すると…、う〜ん大器の予感!日本映画界の至宝を大切に大切に見守って行きたい。(幸)
 


2019年/日本/カラー/スタンダード/76分/5.1ch
配給:ショウゲート
©2019 閉会宣言
公式サイト https://jesus-movie.com/
★2019年5月31日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
posted by yukie at 11:57| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年05月25日

メモリーズ・オブ・サマー  原題:Wspomnienie lata

memory of summer.jpg

監督:アダム・グジンスキ
出演:マックス・ヤスチシェンプスキ,ウルシュラ・グラボフスカ,ロベルト・ビェンツキェビチ

1970年代末、ポーランドの田舎町。12歳のピョトレックは、夏休みを大好きな母ヴィシャと過ごしている。父は外国へ出稼ぎ中だ。やがて、母が昼間の仕事だけでなく、夜も毎日のようにおしゃれをして出かけるようになる。ピョトレックは置き去りにされて不満だ。昼間、暇を持て余して近くの湖に行き、年上の少年が率いる不良グループと親しくなる。一方、都会からやって来た少女マイカとも知り合い、ピョトレックは彼女に好意を抱くようになる。だが、マイカが不良少年と親しくしているのを目撃してしまう。相変わらず母が浮き浮きと出歩いている中、父が出稼ぎ先から帰ってくる・・・

12歳の夏の出来事。初恋、そして挫折、親との確執・・・ いろんなことがあって、少年は大人への一歩を踏み出します。
1970年代のポーランドという背景が、なんともノスタルジック。
虫の入った琥珀のお守りがいかにもポーランドらしいアイテムとして登場します。
人それぞれの大人への通過儀礼があるけれど、このピョトレックのケースは、ちょっと衝撃的? (咲)


美しい母、端正な顔立ちで、きちんと躾けられた息子。湖畔で戯れ、線路脇の道を電車と並び、自転車で駆け抜けるさまはまるで恋人同士のよう。幸せいっぱいのシーンだが、何となく不安感が拭い去れないのは、冒頭の衝撃的なシーンのせい。「この幸せは長く続かないはず」と物語に引き込まれてしまう。巧みな演出だ。
最初に変化を見せたのは母。夜の外出が増え、口紅が濃くなり、まとめ上げていた髪が解かれる。母が知らない誰かに女を見せるために出掛けていく姿を12歳の少年が受け入れるのは酷だ。時折、反抗的な態度を見せるようになる。そして、少年もかさぶたを剥がすような痛みを経験しながら、大人に近づいていく。
夏が終わり、秋を迎えたとき、少年は母から飛び立っていった。(堀)


アダム・グジンスキ監督インタビュー記事はこちらから。

2016年/ポーランド/83分/マグネタイズ/DCP
配給:マグネタイズ
公式サイト:http://memories-of-summer-movie.jp/
★2019年6月1日(土)より YEBISU GARDEN CINEMA / UPLINK吉祥寺ほか全国順次ロードショー
posted by sakiko at 19:41| Comment(0) | ポーランド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

誰もがそれを知っている(原題:Todos lo saben)

everybodyknowsposter.jpg

監督・脚本:アスガー・ファルハディ
撮影:ホセ・ルイス・アルカイネ
音楽:ハビエル・リモン
出演:ハビエル・バルデム、ペネロペ・クルス、リカルド・ダリン 

アルゼンチンに暮らすラウラ(ペネロペ・クルス)が、妹の結婚式のため故郷スペインに帰省し、ワイン業を営む幼なじみのパコ(ハビエル・バルデム)や家族との再会を果たす。しかしその喜びもつかの間、結婚式の後に催されたパーティーのさなか、ラウラの娘イレーネが失踪。まもなく何者かから巨額の身代金を要求するメッセージが届き、ラウラは絶望のどん底に突き落とされる。パコは時間稼ぎに奔走し、ラウラの夫(リカルド・ダリン)もアルゼンチンから駆けつけるが、疑心暗鬼に陥った家族の内に長年隠されていた秘密が露わになっていく…。

スペインの小さな村で結婚祝いの最中、誘拐事件が起きた。主人公の悲痛な叫びに緊迫感が募る。身代金目当ての犯人の仕業か。それとも身内による狂言か。支えてくれる友人は元カレで以前は実家の小作人だった。土地を買い取り、今は対等なはずなのに、元地主の父の意識は変わらない。ありがちなことだろう。
悲劇も立場によって温度差がある。意識の違いが猜疑心を炙り出す。やがて明らかになる秘密。知らないのは本人だけというのは小さい村ならでは。ラストに理不尽さを感じるが、これが現実なのかもしれない。(堀)


公開を記念して、フリーライター高橋ユキと新潮社出版部長の中瀬ゆかりのトークイベントが行われた。詳細はこちらから。

昨年、カンヌ映画祭のオープニングでファルハディ監督のスペインで撮った映画が上映されると聞いて、世界に認められた巨匠になったと、ほんとに嬉しく思ったものです。日本でも公開されることと心待ちにしていました。そして、拝見してみたら、舞台はスペインの片田舎で、イラン人もイランのことも全く出てこないのに、まぎれもなくファルハディ監督の作品だと感じて、唸りました。

思えば、私がファルハディ監督にお会いしたのは、2009年9月。アジアフォーカス・福岡国際映画祭で、『彼女が消えた浜辺』が『アバウト・エリ』のタイトルで上映された時のことです。その折にインタビューさせていただいたのですが、読み返してみたら、「人間の本質はどこでも同じ」とありました。ファルハディ監督の映画作りの根底にあるのは、まさにそれだと思いました。

スペインを舞台にした物語の構想のきっかけは、15年前のスペインの旅のあちこちで見かけた行方不明の子どもたちの写真。最初に書いた短い物語をだんだん膨らませていったそうです。『ある過去の行方』を撮り終えた頃から本格的に本作の企画を始動。数年来懇意にしていたペネロペ・クルスとハビエル・バルデムのスター俳優夫妻を主人公にあて書きして脚本を執筆。二人にも相談したり、スペインを再訪したりして、何度も手を入れペルシア語で脚本を完成させ、その後スペイン語に翻訳。仕事仲間のイラン女性マスメ・ラヒジさんのお陰で、ペルシア語で感じたことをスペイン語で表現することができたと公式インタビューにありました。しっかりスペインの物語になっていながら、ファルハディ監督を感じることが出来たのも納得です。
『誰もがそれを知っている』も、これまでの作品同様、台詞の一言一言を聞き逃せません。それでも、もう一度観て、その言葉はそういう意味だったのだと確認したくなります。ファルハディ監督の仕掛けにしてやられました。(咲)


2018年/スペイン・フランス・イタリア/スペイン語/アメリカンビスタ/カラー/5.1ch/133分
配給:ロングライド  
© 2018 MEMENTO FILMS PRODUCTION - MORENA FILMS SL - LUCKY RED - FRANCE 3 CINÉMA - UNTITLED FILMS A.I.E
公式サイト:https://longride.jp/everybodyknows/
★2019年6月1日(土) Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開
posted by ほりきみき at 02:38| Comment(0) | スペイン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

イングランド・イズ・マイン モリッシー, はじまりの物語(原題:England Is Mine)

eim-movie.jpg

監督・脚本:マーク・ギル
出演:ジャック・ロウデン、ジェシカ・ブラウン・フィンドレイ、ジョディ・カマー

1976年マンチェスター。学校をドロップアウトしたスティーブン・モリッシー(ジャック・ロウデン)はライブに通っては批評を音楽紙に投稿するだけの毎日。仕事をサボって詩を書くことが唯一の慰めだった。そんな時、美大生のリンダー(ジェシカ・ブラウン・フィンドレイ)と出会い、後押しもあってバンドを組むことになる。
初ライブは成功、スティーブンはミュージシャンになろうと仕事を辞める。しかし順調に思えた彼を待ち受けたのは、別れや挫折だった。1982年、それでもあきらめずに音楽を続けるスティーブンの元に1人のギタリストが訪ねてくる。それは、のちに彼と「ザ・スミス」を結成するジョニー・マーだった。

1980年代に席巻したバンド「ザ・スミス」のモリッシーの若き日を描く。ザ・スミスを知らなくても、青春映画として楽しめるので大丈夫。
モリッシーは高校を中退し、せっかく手に入れた仕事もさぼり気味。音楽誌に辛口の批評を投稿するだけで、自分はなかなか一歩を踏み出さない。ダメダメぶり全開だが、イケメンなジャック・ロウデンが内気な感じで演じているからか、”守ってあげたい”と許せてしまう。94分の短尺で、モリッシーに惚れる女が3人も出てくるのはそのせいか。3人とも好きな男にきっかけをつかませようとせっせと後押しする。しかし、才能を信じる母の愛が息子を変える。親ってすごい。(堀)


2017年/イギリス/94分/カラー/シネスコ/PG-12
配給:パルコ
©2017 ESSOLDO LIMITED ALL RIGHTS RESERVED.
公式サイト:http://eim-movie.jp/
★2019年5月31日(金)よりシネクイントほか全国ロードショー

posted by ほりきみき at 02:21| Comment(0) | イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする