2019年02月01日

がんになる前に知っておくこと

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監督・撮影・編集:三宅流
企画・プロデューサー:上原拓治
ナビゲーター:鳴神綾香出演:若尾文彦、勝俣範之、山内英子、唐澤久美子、有賀悦子、大野智、近藤まゆみ、橋本久美子、山口ひとみ、土井卓子、秋山正子、岩城典子、塩崎良子、岸田徹、鈴木美穂

がんについての正しい情報はどこで得られるのか。がんの治療法にはどのようなものがあり、どう選べばいいのか。身体や心の痛みはどうしたら軽減できるのか。そして、がんになった時、人は何を感じ、想い、どのように生きていけるのか…。
検診で「乳がんの疑いあり」と判定された経験をもつ若手女優、鳴神綾香をナビゲーターに迎え、がん治療を専門としている腫瘍内科医、外科医、放射線腫瘍医をはじめとした医療従事者や、がんサバイバーなど15人との対話を通して、がんについての基本的な知識を一から学ぶドキュメンタリー。

この映画は、上原プロデューサーの義妹さんががんになったことがきっかけでできたのだそうです。身近な人がかかって初めてその病気へ関心を持ち、何も知らなかったことに気づくのは私自身も経験しました。祖父、実父、叔父叔母・・・親戚の何人もが、がんで亡くなりました。先に逝ってしまった年下の友人もそうです。そして何人もが今治療中です。たくさん見てきてわかったのは、当たり前だけれど「一人ずつみな違うので、その人に合った治療と生き方を選ぶ」ということでした。昔と違って、本人への告知やほかの医師の意見を聞く(セカンドオピニオン)こともできます。いくつもの選択肢があること、その相談もできること、をまず知ってください。
2日の朝日新聞beに、ちょうどこの映画に登場した秋山正子さん(マギーズ東京センター長)の記事がありました。マギーズ東京は豊洲に2016年、その前2011年に開設した「暮らしの保健室」は全国50箇所に。保健室のような相談窓口だそうです。(白)


2人に1人はがんに罹る時代。医療は進んでいる。「がん=死。抗がん剤治療は副作用が強く、髪が抜け、吐き気が酷い」という認識は30年くらい古いものだという。緩和ケアもがんの末期になり、医療では何もできなくなったときに受けるものではなく、抗がん剤治療と同時に始めて、副作用を乗り切って、QOL(クオリティ・オブ・ライフ=人生の質)を下げないことを目指すものだそうだ。また、医療関係者だけでなく、がんサバイバーの方の話も出てくるが、退院後のQOLを考えるにあたって、「なるほど」うことばかり。がんに罹ったら諦めて死を待つのではなく、きちんとした情報を集めて対処すれば治る。治った後の生活もQOLを下げなくていい。正確な医療情報を見極めるためにも、この作品でがんについて知っておくことは、自分や家族のために重要なことである。(堀)

2018年/日本/カラー/シネスコ/108分
配給:上原商店
(c)2018 uehara-shouten
http://ganninarumaeni.com/
★2019年2月2日(土)より新宿K's cinemaほか全国順次公開
posted by shiraishi at 09:52| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

眠る村

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監督:齊藤潤一、鎌田麗香
プロデューサー:阿武野勝彦
撮影:坂井洋紀
ナレーション:仲代達矢

昭和36年、三重と奈良にまたがる葛尾村の懇親会でぶどう酒を飲んだ女性5人が死亡した。ぶどう酒には農薬が混入しており、6日後奥西勝が逮捕され、犯行を認めた。妻と愛人との三角関係を清算するためと自白。初公判では、自白は強要されたとして奥西は無罪を主張する。一審は無罪となったが、二審では逆転死刑となった。奥西は上告を棄却され、昭和47年死刑が確定する。奥西の母は息子の無罪を信じ、再審を求め続けた。その母も亡くなり、妹が引き継ぐ。奥西は独房生活を続けた挙句、医療刑務所で平成27年死亡。89歳だった。
今もなお多くの謎が残る事件を東海テレビ放送が追う。葛尾村の人々を訪ねて話を聞くのだが・・・。

東海テレビ放送が製作した劇映画『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』(2012)で奥西勝を演じた仲代達矢さんのナレーションでドキュメンタリーが進んでいきます。『約束~』では、樹木希林さんが息子のもとへ通い続ける母・奥西タツノさんを演じていました。
法律では自白だけを理由に有罪とするのは禁じられている」のですが、いったん自白すれば、それを言質に有罪のための証拠固めが行われるだろうことは想像にかたくありません。「疑わしきは被告人の利益に」というのは「一人も冤罪を出してはいけない」という大原則に基づいたもの。それが二審の結果であったでしょう。この事件が冤罪であったなら真犯人・真実はいったいどこに?未解決の事件はあまたありますが、犯した罪を封印して生き続けるにはあまりに重い記憶なのではないでしょうか?(白)


2018年/日本/カラー/シネスコ/96分
配給:東海テレビ放送
(c)東海テレビ放送
http://www.nemuru-mura.com/
★2019年2月2日(土)より東京・ポレポレ東中野にて公開ほか全国順次
posted by shiraishi at 09:40| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ともしび(原題Hannah)

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監督・脚本:アンドレア・パラオロ
撮影:チェイス・アーヴィン
出演:シャーロット・ランプリング(アンナ)、アンドレ・ウィルム(アンナの夫)、ステファニー・バン・ビーブ(エレーヌ)、シモン・ビショップ(二コラ)、ファトゥ・トラオレ(演技の先生)

アンナは夫と二人つつましく暮らしている。毎日食事を作り、演劇クラスと水泳を楽しみ、富裕な家族の家政婦の仕事に出かける。ずっと続くかと思われた平穏な日々が、突然夫が逮捕されたことによって破られてしまう。アンナのこれまでの日常に少しずつ狂いが生じ、楽しみも一つずつ奪われていく。ある日、階上の家の水漏れで、天井を修理することになった。大きな戸棚を移動して、その裏側に夫が隠した写真を見つけてしまった。夫の罪の証拠となるものだった。

『まぼろし』(2001)『さざなみ』(2015)とひらがな4文字の作品が続いたシャーロット・ランプリング。作品はどれも長く連れ添った夫婦についてのドラマです。夫役のアンドレ・ウィルムは『ル・ア-ヴルの靴みがき』(2011)の男優さん。アンドレア・パラオロ監督はこれが長編2作目の方です。若いのに、どうして老夫婦の機微をこんな風にとらえることができるのでしょう?
容赦なくアップになるのに抗わず、年取った身体もさらすシャーロット・ランプリング。カッコよく年を取っていく女優さんだなぁと毎回感じ入っています。入れ歯を外して演技した樹木希林さんが思い出されました。
どのシーンも台詞が少なく、雄弁に物語っているのは彼女の表情。孤独と絶望の中でかすかなともしびを見い出せるのか?この人がいてこその作品でした。落ち着いた色合いの撮影が美しい本作で、ところどころに花や風船の明るいさし色が入ります。シャーロット・ランプリングの着こなしが素敵で、セーターに小さなアクセサリー、地味な色のコートに色とりどりのスカーフが合わせてありました。それも見どころ。(白)


2017年/フランス・イタリア・ベルギー/カラー/シネスコ/93分
配給:彩プロ
2017 (C) Partner Media Investment - Left Field Ventures - Good Fortune Films
http://tomoshibi.ayapro.ne.jp/
★2019年2月2日(土)ロードショー
posted by shiraishi at 09:28| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする