2019年02月28日

福島は語る

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(c)DOI Toshikuni

土井敏邦監督の新作ドキュメンタリー『福島は語る』が3/2(土)から新宿K's cinemaを皮切りに3月に全国で一斉公開されます

監督・撮影・編集:土井敏邦
整音:藤口諒太
朗読・題字:高橋長英
写真:森住卓
挿入歌:「ああ福島」李政美(作詞:武藤類子、作曲:李政美)
宣伝美術:野田雅也

いまを生きるすべての人たちへ分断された私たちが語り継ぐ14のメッセージ

この作品は、長年パレスチナ・イスラエル取材したものをまとめた『沈黙を破る』(2009)、『飯舘村―故郷を追われる村人たちー』(2012)、日本で暮らすミャンマー人難民に関する作品『異国に生きるー日本の中のビルマ人―』(2013)、韓国の「ナヌムの家」に暮らす元慰安婦たちを撮った『“記憶”と生きる』(2015)など数々の作品で評価を受けてきた土井敏邦監督が、4年かけて100人を超える福島の被災者たちを取材した中から選んだ14人の被災者たちの"福島の声"を映像化した証言ドキュメンタリー。
2011年の原発事故から8年が過ぎ、日本は2020年の東京オリンピックに向け浮き足立ち、「福島のことは終わったこと」と片づけようとしているように思えてならないと感じた土井監督は、「福島は終わっていない」と、原発事故によって人生を変えられてしまった10数万人の被災者たちの心の傷は疼き続けていることを、「福島」を忘却しつつある日本社会に届けたいと願い製作された作品。

土井監督はこの作品について下記のように語っています。
「原発事故」によって人生を狂わされ、夢や未来を奪われ、かつての家族や共同体の絆を断ち切られ、“生きる指針”さえ奪われた被災者たちの“生傷”は癒えることなく、8年近くになる今なお、疼き続けています。ただそれは、平穏に戻ったかのような現在の福島の光景からは、なかなか見えてきません。その“生傷”を可視化する唯一の手立ては、被災者たちが語る“言葉”です。この映画は、その“言葉”の映像化を試みた作品です。

突然の地震と福島の原発事故、放射能によって日常生活、仕事、自然と故郷を奪われ、家や、家族、友を失なったり、別々の生活を余儀なくされた人々。それぞれの立場で、自身の悔しさや、怒り、無念さ、悲しみを語る。その表情や言葉から彼らの苦渋が伝わってくる。 
原爆被爆国、原発事故の被曝国でありながら原発をやめようとしない日本。ドイツなど、他の国が日本を見て、原発をやめようとしているのに、政官財界が結びついた「原子力ムラ」という巨大な利権集団が、いつ自分たちの間違いに気づくのか。土井監督の作品を始め、いくつもの福島関連の作品が作り続けられているが、原発をやめる必要があることは自明の理であることに早く気づいてほしい(暁)。

全国での上映日程

新宿K's cinema    3月2日(土)~3月15日(金) 
渋谷ユーロスペース  3月9日(土)~
横浜シネマ・ジャック&ベティ 3月9日(土)~3月22日(金)
フォーラム福島    3月8日(金)〜3月14日(木)
佐賀・シアターシエマ 3月8日(金)〜3月14日(木)
名古屋シネマテーク  3月9日(土)〜3月15日(金)
京都シネマ      3月9日(土)〜3月15日(金)
大阪・第七藝術劇場  3月9日(土)~3月15日(金)
大阪・シアタ―セブン 3月23日(土)~3月29日(金)
アップリンク吉祥寺  3月11日(火)
福岡・KBCシネマ1•2  3月11日(月)、3月14日(木)
広島・横川シネマ   3月15日(金)〜3月21日(木)
札幌・シアターキノ  3月27日(水)
仙台チネ・ラヴィータ 4月5日(金)~4月11日(木)

舞台挨拶などその他詳細は公式サイトをご覧ください。
http://doi-toshikuni.net/j/fukushima/

ウェブサイト:安藤滋夫
後援:城南信用金庫
配給:きろくびと、ピカフィルム
2018年/日本/カラー/170分



posted by akemi at 04:51| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年02月17日

フォルトゥナの瞳 

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監督:三木孝浩
原作:百田尚樹『フォルトゥナの瞳』(新潮文庫刊)
脚本:坂口理子、三木孝浩
主題歌・挿入歌:「In the Stars(feat, Kiiara)」/ONE OK ROCK (A-Sketch)
出演:神木隆之介、有村架純、志尊 淳、DAIGO、松井愛莉、北村有起哉、斉藤由貴、時任三郎

幼少期に飛行機事故で家族を失った木山慎一郎(神木隆之介)は、友人も恋人もなくただ仕事のみに生きてきた。しかしある日、「死を目前にした人間が透けて見える能力」―フォルトゥナの瞳―を持っていることに気づき、生活が一変してしまう。自分はなぜこんな力を持ってしまったのか―苦悩する日々の中、偶然入った携帯ショップで桐生葵(有村架純)に出会う。明るく、自分に対し夢や自信を与えてくれる彼女に心惹かれていき、初めて孤独だった慎一郎の人生に彩りが生まれる。互いに惹かれ合い幸せな日々を過ごす2人。しかしそれもつかの間、突然、葵の身体が透け始めてしまう。

原作は「永遠の0」、「海賊と呼ばれた男」も映画化された百田尚樹の同名小説。ある日突然不思議な力を持ってしまった青年が、その力に翻弄されながらも愛する人と巡り合い、彼女の“死の運命”に必死に立ち向かおうとする。設定はファンタジーだが、描かれているのは愛する人を守りたいという気持ちである。
主人公の慎一郎を演じるのは神木隆之介。人気子役としてスタートし、その後、『桐島、部活やめるってよ』、実写版『るろうに剣心』の「京都大火編」「伝説の最期編」、『バクマン。』など若手俳優へと確実に成長を遂げた。若干25歳にして20年以上のキャリアを持つのだが、意外にも本格的なラブストーリーは初めてという。三木孝浩監督によって、神木隆之介の男としての新たな魅力が見事に引き出された。
三木孝浩監督作品には必ず登場する野間口徹が今回もあんなところに! 分かりやすいが、ほぼ1シーンなのでお見逃しなく。(堀)


2019年/日本/カラー/110分
配給:東宝
(C) 2019「フォルトゥナの瞳」製作委員会
公式サイト:http://fortuna-movie.com/

★2019年2月15日(金)全国東宝系にてロードショー

posted by ほりきみき at 20:25| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年02月16日

母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。

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監督・脚本:大森立嗣(『さよなら渓谷』『日日是好日』)
原作:宮川サトシ著「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。」(新潮社刊)
主題歌:「君の歌はワルツ」BEGIN書き下ろし
出演:安田顕、倍賞美津子、松下奈緒、村上淳、石橋蓮司

2012年春。サトシは火葬場で最愛の母の遺骨の中から、小さなひとかけらをそっとポケットにしまう。こんなに早く別れの日が来るなんて・・・。
思えば、明るく元気な母が突然がんを宣告されたのは、2年前の春のことだった。30代半ばを過ぎても、漫画家を志ながら、知人と営む塾の講師をしているサトシをいつも励ましてくれていた母。サトシが中学生の頃に急性白血病に罹った時にも、必死になって守ってくれた母。今度は、サトシが母を励ます番だった。「必ず助かるよ」と声をかけながら、弱気になるサトシを笑顔にしてくれたのは恋人の真里だった。
母が亡くなり、真里との結婚を後押ししてくれていた母の思いに答えて、結婚する。
2012年秋。サトシは念願だった漫画家としてデビューを果たす。新婚の真里と東京に引っ越す。そんなある日、一本の電話がかかってくる。それは、亡き母が遺してくれた驚くべき贈り物だった…

原作は、2013年にWEBサイト「くらげバンチ」で連載がスタートした宮川サトシの自伝エッセイ漫画「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。」(新潮社刊)。
作者の宮川サトシが、自身の母との最期の日々から葬儀、そして母亡き後の日々の体験をもとに描いた物語。
誰しもが経験する肉親との別れ。遺骨を食べたいほどに、そばに置いておきたい気持ちに、観る者皆がほろっとさせられることでしょう。で、驚かされるのは、母親が息子のことを案じて、そこまで考えていたのかという思いもかけない贈り物。私には子どもがいないけれど、母親というもの、子どものためならどんなこともするものだと感じ入りました。(咲)


2019年/日本/カラー/ビスタ/5.1ch/108分
配給:アスミック・エース
公式サイト:http://bokuiko-movie.asmik-ace.co.jp/
★2019年2月22日(金)全国順次ロードショー





posted by sakiko at 20:45| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年02月15日

ビール・ストリートの恋人たち(原題:If Beale Street Could Talk)

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監督・脚本:バリー・ジェンキンス
原作:ジェームズ・ボールドウィン
撮影:ジェームズ・ラクストン
音楽:ニコラス・ブリテル
出演:キキ・レイン(ティッシュ・リヴァーズ)、ステファン・ジェームス(ファニー)、レジーナ・キング(シャロン・リヴァーズ)、コールマン・ドミンゴ(ジョーゼフ・リヴァーズ)、テヨナ・パリス(アーネスティン・リヴァーズ)、デイブ・フランコ(レヴィー)、ディエゴ・ルナ(ペドロシート)、エド・スクレイン(ベル巡査長)

1970年代のハーレム。ティッシュとファニーは幼馴染の恋人同士で、早く二人で生活することを夢見て部屋を探していた。ようやく貸してくる家主を見つけたその日、二人は結ばれる。帰り道に寄った店でティッシュが白人の男にセクハラを受け、ファニーは腹を立てる。差別意識丸出しの白人警官がファニーを逮捕しようとしたが、見ていた店主や客たちが抗議する。警官は手を引くことになりファニーに目をつける。しばらく経って強姦事件が起き、被害者の女性が犯人は黒人男性と証言した。ファニーは見に覚えのない濡れぎぬを着せられ、容疑者として逮捕されてしまった。

『ムーンライト』でアカデミー賞作品賞などを受賞したバリー・ジェンキンス監督の新作。ステファン・ジェームスは『栄光のランナー 1936ベルリン』で陸上選手ジェシー・オーエンスを演じていました。また良い作品に出会えて何よりです。ティッシュ役のキキ・レインはこれが映画初出演とか。ティッシュはまるで自分のことのようで、どうしても演じたかったそうです。
若い二人が、理不尽な目に会わされてしまうことに愕然としますが、白人弁護士や彼らを支える家族たちは諦めません。ことに証言をとりたい一心で、遠くまで旅しようとする母親(レジーナ・キングが助演女優賞ノミネート)、旅費を稼ぐ父親たちの愛情に胸があつくなります。ストリートのユダヤ人、マイノリティの人たちの応援もありました。ジェームズ・ボールドウィンの時代から半世紀たちました。今はどれだけよくなったのでしょうか。(白)


原作は、キング牧師と共に公民権運動の旗手としても活躍した黒人作家ジェイムズ・ボールドウィンが70年代に書いた小説。長年映画化を夢見ていたというバリー・ジェンキンス監督が、理不尽な状況に置かれている恋人たちの物語を味わい深い作品に仕上げています。無実の罪で収監されている男ファニーにとって、恋人ティッシュや、真相を明かそうと奔走する家族や友人たちの存在が、一縷の希望の光。人と人との繋がりの素晴らしさを感じさせてくれます。
一方、白人警官は、いちゃもんをつけて黒人だというだけでファニーを犯人に仕立ててしまいます。権力を持つ者が、自身の主義主張に合わない者を陥れるという構図は、国家レベルでも横行していることに思いが至ります。(咲)



2018年/アメリカ/カラー/シネスコ/119分
配給:ロングライド
(C)2018 ANNAPURNA PICTURES, LLC. All Rights Reserved.
http://longride.jp/bealestreet/
★2019年2月22日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 20:51| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

サタデーナイト・チャーチ 夢を歌う場所(原題:Saturday Church) 

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監督・脚本:デイモン・カーダシス
撮影:ヒラリー・スペラ
音楽:ネイサン・ラーソン
出演:ルカ・カイン(ユリシーズ)、マーゴット・ビンガム(アマラ)、レジーナ・テイラー(ローズ)、マークイス・ロドリゲス(レイモンド)、MJ・ロドリゲス(エボニー)、インドゥヤ・ムーア(ディジョン)、アリシア・ガルシア(ヘヴン)

高校生のユリシーズは、学校でも家庭でも居場所がない。学校では女っぽいとからかわれ、家には夜勤の多い母親に代わって留守を見る厳しいローズ叔母さんがいる。軍人だった父親が亡くなってから、ユリシーズは母の服や靴を身につけて鏡に映していた。弟や叔母に知られて家を飛び出し、心細い思いをしていたとき、トランスジェンダーの女性たちに出会う。LGBTの人々が集う「土曜の夜の教会」に誘われ、初めて自分と同じような葛藤を抱え、孤独に生きている人々がこんなにもいることを知った。

主な舞台となるのは、デイモン・カーダシス監督のお母さんが司祭をされているセント・ピーターズ教会。もともと、監督が「土曜の夜の教会」でボランティアをしていたことが映画を作るきっかけになったのだそうです。
LGBTの中でも有色人種のトランスジェンダーはアメリカのホームレスの大半を占め、最も声を上げられない人々であること、彼らに必要なのは”希望”を持ち続けることだ、と監督は気づきます。言葉にならない溢れる思いが歌になり、光を目指すダンスになりました。歌詞は監督が書いたものです。
ユリシーズ役のルカ・カインが繊細で美しく、見とれました。ユリシーズを受け入れ、応援するエボニー、ディジョン、ヘヴンは実際にトランスジェンダーの女優たちです。なんだか世の中狭苦しく生き辛くなっているこのごろですが、空想すること、希望を持つことは誰にでもできるんだよ、と背中を押してくれる作品。(白)


トランスジェンダーの人たちに誘われて行った「土曜の夜の教会」で、自分らしく生きることを学んだユリシーズ。ハイヒールを買って隠していたのを、叔母が見つけ、罵倒します。でも、母親は違う。ユリシーズの思いを尊重します。
実は私の友人から、数年前、「娘が息子になっちゃったの」と聞かされました。性同一性障がい。名前も男性らしいものに変え、アメリカにしばらく行った後、帰国して男性として就職。そして、昨年、「息子が結婚したの」と友人。戸惑いながらも、我が子をあるがままに受け入れている姿に、これが母親というものなのだと思いました。
今や社会も変化してきて、LGBTの人たちの存在が認識されて偏見の目でみることも以前より減ってきたのではないかと思います。けれども社会によっては、同性愛というだけで処罰の対象になるところもあるのが現実。人間の尊厳が認められる世の中であってほしいと思います。(咲)


2018年/アメリカ/カラー/シネスコ/82分
配給:キノフィルムズ
(C)2016 Saturday Church Holding LLC ALL rights reserved.
http://saturday-church.com/
★2019年2月22日(金)新宿ピカデリー他にて全国ロードショー
posted by shiraishi at 20:49| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

THE GUILTY/ギルティ (原題:Den skyldige)

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監督:グスタフ・モーラー
脚本:グスタフ・モーラー、エミール・ナイガード・アルベルトセン
出演:ヤコブ・セーダーグレン(アスガー・ホルム)、イェシカ・ディナウエ(イーベン)、ヨハン・オルセン(ミケル)、オマール・シャガウィーラ(シッド)

警察官のアスガー・ホルムは、ある事件をきっかけに一戦を退き、今は緊急通報司令室のオペレーターを勤めている。交通事故の緊急搬送や、車の手配など瑣末な事件にうんざりしていた。そこへ1本の通報が入った。「誘拐されて車でどこかへ連れて行かれている」という女性からの電話だった。犯人に気づかれることなく、女性の乗っている車を特定しなければならない。事件を解決するための手がかりは、電話を握り締めているだろう女性の声と、かすかに聞こえてくる”音”だけなのだ。

「おお、こう来ましたか!」と思わず拍手しそうになった作品。すぐハリウッドリメイクが決まったというのが納得です。ワンシチュエーション+電話というと、トム・ハーディが一人で演じきった『オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分』が浮かびます。状況は誘拐事件のこちらのほうが切迫しておりますが、グスタフ・モーラー監督も意識していたでしょうか?(白)

映し出されるのは、緊急通報司令室と、主人公のオペレーターの男のみ。緊急事態を告げる女性の声と、その背景の音だけで、オペレーターの男も、映画を観ている私たちも、事態を把握することになります。凄惨な場面は映らないのに、まるで目の前で残酷な事件が繰り広げられているかのよう。主人公の男も、私たちも、電話から聴こえてくる声と音だけで現場を想像してしまいます。
製作費をそれほどかけなくても、これほどの映画が作れると驚かされました。そして、思いもかけない結末にも!(咲)


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◆制作秘話◆ (配給・宣伝のファントム・フィルムさんより)
監督は「新しい形式を試したかった。制限された枠内でクリエイティブに制作したいという欲望を抱いていた」インタビューで答えている。「観る人に挑み、驚かせるようなジャンル映画を作りたい」という思いで作られた本作は、見事に観るものを今までの映画で体験したことない“新感覚”の世界に誘ってくれる傑作に仕上がった。そしてその稀有な体験を生み出すのは徹底的にこだわり抜かれた“音”である。主人公しか映し出されないにも関わらず、電話先の女性の声や事件現場が観る者の頭に鮮明に浮かび上がってくる。その秘訣はキャスティングにあった。本作で誘拐された女性を演じるイェシカ・ディナウエは、声でのみ出演している。そのため、監督はあえて彼女の顔を見ずに、音声ファイルだけを聞いてブラインドオーディションを行ったという。

このオーディションについて、監督はこうインタビューに答えている「観客にそれぞれのイメージを思い浮かべてもらい、一緒に作品を作り上げていくというのがこの映画の主旨だ。どの作品でもそうだが、枠の外側にあるものを(=作品の中で直接語っていない)観客に思い浮かべてもらうというのが最も重要だと思うんだ。だからサウンドデザインや声だけで出演している役者も大事だった。役者に関しては、その人物を語れる独特の声を持った役者を求めていたから、ブラインド・オーディションを行ったんだ。キャスティング会社があるシーンを役者に演じさせ、僕はその音声だけをもらった。彼らの見た目はもちろん、名前も有名な役者なのかも知らされず、声だけで判断したのさ。色々聞いていくうちに、どのような声であれば観客の想像力をかき立てられるかが明確に分かってきた。」さらに、その時を思い出して「彼らはオーディションをした役者の中でも、とても特徴的な声だったのだ。」と監督は振り返る。異例のオーディション方法で見出された彼らは、劇中でも一度聞いたら脳裏から離れない特徴的な声による、見事な熱演を見せている。

 このような一風変わった方法をとった理由を監督は、「主人公と観客の目線を合わせ、距離をできるだけ縮めたかったから」と語っている。キャスティング時点から既に“音と声だけしかない”という本作の設定にこだわったことが伺える。さらに、本作において徹底して追求されたリアリティは、“電話からの音と声”はもちろんのこと、映像にも現れている。監督はあえてロングテイクを多用することで、撮影現場で起こる些細なミスも映画の中に取り込むという手法をとっていた。
加えて、主演のヤコブ・セーダーグレンには、「作品の主旨やリサーチ結果を共有し、キャラクターの背景などを話し合った上で、さらに脚本を一単語ずつ見ていき、なぜそのようなことを言うのか細かく分析していった。また、リハーサルは一切行わなかった。誘拐された女性と初めてセリフを合わせるのは、そのシーンを撮影する時だった。その新鮮さを求めていたから、事前に読み合わせはしなかったんだ。」と監督は答え、首尾一貫した本作のテーマへの徹底ぶりを語っていた。

 これらのこだわりが、サンダンス映画祭で大絶賛され、異例のスピードで主演ジェイク・ギレンホールでハリウッドリメイクまで決定した傑作『THE GUILTY/ギルティ』を生み出したのです。  


2018年/デンマーク/カラー/シネスコ/88分
配給:ファントム・フィルム
(C)2018 NORDISK FILM PRODUCTION A/S
http://guilty-movie.jp/
★2019年2月22日(金)新宿武蔵野館/ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開





posted by shiraishi at 20:46| Comment(0) | 北欧 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

翔んで埼玉

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監督:武内英樹
原作:魔夜峰央
脚本:徳永友一
撮影:谷川創平
音楽:Face 2 fAKE
主題歌:はなわ
出演:二階堂ふみ(壇ノ浦百美)、GACKT(麻実麗)、伊勢谷友介(阿久津翔)、ブラザートム(菅原好海)、麻生久美子(菅原真紀)、島崎遥香(菅原愛海)、成田凌(五十嵐春翔)、間宮祥太朗(埼玉県人の青年)、加藤諒(下川信男)、益若つばさ(おかよ)、中尾彬(壇ノ浦建)、武田久美子(壇ノ浦恵子)、麿赤兒(西園寺宗十郎)、竹中直人(神奈川県知事)、京本政樹(埼玉デューク)、JAGUAR(エンペラー千葉)

東京の超名門校・白鵬堂学院では、都知事の息子の壇ノ浦百美が、生徒会長として君臨している。彼をヒエラルキーの頂点として、最下層には埼玉県出身の生徒がいる。埼玉県民は通行手形がないと、東京に出入りすることもできず、都民ばかりでなく近隣の県民からも差別を受けていた。過去から続く理不尽なこの状態を打破してくれる”ヒーローの登場”を埼玉県民は願い続けている。
百美は当然のように父の後をついで都知事への最短距離にいると信じて疑わなかったが、転入してきたアメリカ帰りの麻実麗に恋心を抱いたことで、百美の運命は大きく狂い始める。麻実麗こそ隠れ埼玉県人で、埼玉解放戦線の主要メンバーだったのだ。

魔夜峰央(まやみねお)さんといえば今も連載が続いている「パタリロ!」がすぐ思い浮かびます。この映画の原作「翔んで埼玉」はまだ”ディスる”という言葉さえなかった1982年~1983年「花とゆめ」別冊に3回に分けて連載されました。当時殆ど反響がなかったのに、2015年に突如注目を浴び、まさかの復刊&大増刷。このたびの映画化とあいなりました。
二階堂ふみさんは違和感ありませんが、GACKTさんが麻実麗とは(ビジュアル再現は200%です)意外なキャスティングに驚き。そっこー断ったのだそうですが、魔夜峰央さんからたっての希望と聞いて、考え直したのだとか。
埼玉ディス映画というのは前半、後半は近隣諸県を巻き込み、郷土愛を前面に押し出したものになっています。江戸川をはさんでの埼玉・千葉対決も面白く思わず噴き出します。いい大人たちが観客を楽しませるために、真剣に大真面目に馬鹿なことをやってくれている娯楽大作。埼玉県知事のお墨付きもいただいたという本作、あの人もこの人も出ていますので、お見逃しなく。(白)


2019年/日本/カラー/シネスコ/107分
配給:東映
(C)2019 映画「翔んで埼玉」製作委員会
http://www.tondesaitama.com/
★2019年2月22日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 20:44| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

笑顔の向こうに

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監督:榎本二郎
脚本:川崎龍太
撮影:ふじもと光明
音楽:フジパシフィックミュージック
出演:高杉真宙(大地)、安田聖愛(真夏)、池田鉄洋(父)、佐藤藍子(母)、松原智恵子(祖母)、辻本祐樹、西方凌、濱田英里、木村祐一(院長)

大地は、東京にすむ歯科技工士。金沢の実家の父も歯科技工士だったが、大地は口論の末飛び出したきり戻っていない。東京で技術を磨き、イケメンの大地は歯科医院の女性たちに「王子」と呼ばれている。幼馴染の真夏は歯科衛生士として郊外のクリニックで働きはじめ、納品にきた大地と偶然再会する。大地は母の呼びかけに応えて実家に帰り、父に手がけた義歯を見せるが半人前だと言われてしまう。

これまで歯科医が映画に出てきたことはあっても、義歯を作る歯科技工士にスポットをあてたものは見たことがありません。介護の現場でのやりとりも珍しいシーンです。患者役が丹古母鬼馬二さんでした。
「8020運動」は聞いたことありますよね。1989年(平成元年)に提唱された「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」という運動。今年が30周年だそうです。歯科医、歯科衛生士さんが患者と直接ふれあいますが、患者さんには見えないところで日々お仕事をしているのが歯科技工士さん。歯科医院で型をとって1週間か2週間後くらいには、技工士さんの作ったインレー(詰め物)やデンチャー(義歯)ができてきます。普段見られないところが見られる「お仕事映画」でもあります。家族や友達とのすれ違いや仕事の失敗を経て、少しずつ成長していく主人公の青春物語。たくさんの器具を扱って、真剣な表情の高杉真宙さん、ファンはきゅんとしそうです。(白)


2019年/日本/カラー/シネスコ/84分
配給:テンダープロ、プレシディオ
(C)公益社団法人日本歯科医師会
https://egao-mukou.jp/
★2019年2月15日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 20:42| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

トラさん 僕が猫になったワケ

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原作:板羽皆「トラさん」(集英社マーガレットコミックス)
脚本:大野敏哉
音楽:渡邊崇
主題歌Kis-My-Ft2
出演:北山宏光(高畑寿々男/トラさん)、多部未華子(奈津子)、平澤宏々路(実優)、飯豊まりえ(ホワイテスト)、富山えり子(桜木亜子)

高畑寿々男は売れない漫画家。代表作「ネコマン」の最終回を書き上げることもせず、ギャンブルで一攫千金をねらっている。担当編集者には「ネコマン」を完結させるように言われているが、実は猫嫌いで他の新作が描きたい寿々男。愛妻の奈津子はそんな寿々男を見限ることもなくパートに通い、明るく家計を支えていた。一人娘の実優(みゆ)はクラスメイトに寿々男のことでからかわれていた。そうとも知らず、授業参観に出かけて実優に嫌がられるという体たらく。ある日こっそり家計費からくすねたお金を競輪につぎこみ、大当たり。浮かれて帰る途中に交通事故に遭ってしまった。寿々男が目覚めるとそこは「あの世の関所」。これまでの行いを裁判長から指摘され、人生を挽回するために1ヶ月だけ戻れることになった。ただし、猫の姿で。

同名のコミックを原作に「Kis-My-Ft2」の北山宏光さんが初映画主演。あまりにもぐうたらなダメ夫・ダメ父から生まれ変わった(?)トラ猫の着ぐるみで、遺した愛妻と愛娘の幸せのために頑張ります。最初はあんまり頑張ってないんですけどね(笑)。原作の絵とそっくりな北山さんのゆるーい脱力感が、悲劇になりがちなストーリーをあったかい家族愛の作品にしていました。トラさんにいろいろと猫社会の知恵をさずけてくれるのが、飯豊まりえさん演じるお嬢様猫のホワイテスト。この衣装デザインもなかなかです。
猫もの映画は数多くありますが、俳優さんが着ぐるみで猫になってしまうのは記憶にないですね。北山さん飯豊さんの猫っぷりに注目しつつ、家族愛に包まれてください。(白)




売れないアーティスト彼氏をパートタイマー勤務で支える彼女ってゆうカップルがイヤになるほど周りに居るので、この作品設定に私はのめりこみやすかったです、爆。それに、猫が主人公!! 宇宙一、可愛い生き物 それは猫(自由律俳句) その猫に扮する主人公はジャニーズのキスマイ北山さん。私のジャニ歴はSMAPどまりなので、SMAP以降がとんと分からず…キスマイってナニそれ?!状態でしたが…。 死んで猫に生まれ変わっても愛する家族のそばで暮らしたい、だったら生きてるアイダに、どれだけ大切な人たちに愛を捧げられるか…あらためて平凡な日常時間が奇跡的な大切な生活であるかを思い知らされました。
(白)さんは俳優さんの着ぐるみ猫映画が記憶に無い~ と書いてますが 私は去年、六月に公開された犬童一心監督の映画『猫は抱くもの』が記憶に新しいです。 キスマイ北山さんの猫っぷり、ほんと面白くて原作漫画も読みたくなりました。 (千)


(C)板羽皆/集英社・「トラさん」製作委員会
2019年/日本/カラー/シネスコ/91分
配給:ショウゲート
公式 http://torasan-movie.jp/
★2019年2月15日(金)より全国順次ロードショー

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2019年02月14日

ちえりとチェリー

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原作・監督:中村誠 
脚本:島田満、中村誠 
キャラクターデザイン:レオニード・シュワルツマン、伊部由起子 
音楽:大谷幸 
主題歌:Salyu「青空」(TOY’S FACTORY)
声の出演:高森奈津美、星野源、尾野真千子、栗田貫一、田中敦子、伊達みきお(サンドウィッチマン)、富澤たけし(サンドウィッチマン)ほか

ちえりは小学6年生の女の子。小さい時にお父さんを亡くし、お母さんと二人暮らし。お母さんは仕事に忙しくて、ちえりをかまってくれない。ちえりの唯一の話し相手は、お父さんのお葬式の時に蔵で見つけたボロボロのぬいぐるみ“チェリー”だった。ちえりは、いつもチェリーと一緒!
ある日、ちえりはお父さんの法事のため、久しぶりにお祖母さんの家に行く。そこで、ちえりを待ち受けているものとは・・・  
空想と現実の狭間で繰り広げられる不思議な冒険物語。

ちえりは、ぬいぐるみのチェリーをお父さんのように思って、語りかけます。そして、それにチェリーもこたえてくれる!
突然、親を亡くしてしまった幼い子どもたちに、なんとか元気になってほしいという思いで、中村誠監督が放った人形アニメーション。
東日本大震災で、近しい人を亡くした子どもたちのことが念頭にあったといいます。命の大切さと向き合い、未来に向けて歩み出してほしいという思いが込められています。
大人の私たちも、くよくよしていちゃいけない、前に向かって歩まなければと、元気を貰える一作です。(咲)


‟チェリー″のキャラクターデザインをオリジナル版「チェブラーシカ」の生みの親でもある、ロシアニメ界の巨匠 レオニード・シュワルツマンが担当しています。
◆ 『チェブラーシカ 動物園に行く』同時上映
(動物たちが、毎日、動物園に出勤するという、なんとも可愛い映画です。)

☆初日舞台挨拶
会場:イオンシネマシアタス調布
日時:2月15日(金) 19:00~の上映回 (上映開始前に舞台挨拶。約20分)
登壇者:高森奈津美さん(ちえり役)、チェブラーシカ、中村誠さん(監督)

2015年/日本/72分
製作:「ちえりとチェリー」製作委員会(フロンティアワークス、東映アニメーション、ギャガ) 
配給:フロンティアワークス 配給協力:イオンエンターテイメント 
Ⓒ「ちえりとチェリー」製作委員会
公式サイト:http://www.chieriandcherry.com/
★2019年2月15日(金)より全国のイオンシネマにて2週間限定ロードショー!(一部劇場を除く)
posted by sakiko at 22:35| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年02月10日

半世界

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監督:阪本順治
出演:稲垣吾郎、長谷川博己、池脇千鶴、渋川清彦、竹内都子、杉田雷麟、小野武彦、石橋蓮司

とある山あいの町。39歳になる紘(稲垣吾郎)は、父から引き継いだ炭焼き窯で備長炭を製炭し生計を立てている。中学からの親友で自衛官をしていた瑛介(長谷川博己)が突然町に帰ってくる。もう一人の同級生仲間・光彦(渋川清彦)と3人で久しぶりに飲む。瑛介は仕事も辞め、家族とも別れたというが、何があったかは多くを語らない。ひょうきんな光彦が、紘に対し「おまえ、家のことを奥さんに任せきりで息子にも関心ないだろう」とふっかけて場を盛りたてる。
40歳を目前にし、人生半ばを迎えた3人。これまでの自分を振り返り、これからの生き方を、ふと思う・・・

両親が亡くなり空家になっていた実家に引き篭もる瑛介。自衛官として海外派遣された時のことが心に重くのしかかっているようだが、多くは語られない。
紘は、炭焼きの仕事を引き継がなくてもいいという父への意地もあって、昔ながらの製法で備長炭を作っているが、得意先も安上がりな炭に乗り換える状況。妻の初乃(池脇千鶴)が、夫に内緒で売り込みに行く姿がいじらしい。
20年以上前に埋めたタイムカプセルを開ける場面がある。自分がかつて描いた将来の姿と現実は・・・? そして、反抗期にあった息子・明が選ぶ道は?
一度しかない人生。立ち止まって、これからを考えてみたくなること必至。
吾郎ちゃんに、ふつ~のおっさんが似合うのではと炭焼き職人を演じさせた阪本順治監督。でも、吾郎ちゃんから「これからセックス。邪魔しないで」なんて言葉が出ても、現実味がないなぁ~と。(咲)


東京国際映画祭の折の記者会見には、大勢の記者が詰め掛けました。
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吾郎ちゃんは、さりげなくスパンコールの光るスーツ。やっぱり華がありました。

☆2018年 東京国際映画祭 観客賞受賞

2018年/日本/カラー/119分
配給:キノフィルムズ
公式サイト:http://hansekai.jp/
★2019年2月15日(金)TOHOシネマズ日比谷他全国公開




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2019年02月09日

金子文子と朴烈(パクヨル)  英題:Anarchist from the Colony.

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監督:イ・ジュンイク(『王の男』『空と風と星の詩人 尹東柱(ユン・ドンジュ)の生涯』)
出演:イ・ジェフン、チェ・ヒソ、キム・インウ、キム・ジュンハン、山野内扶、金守珍

1923年(大正12年)、東京。有楽町にある通称「社会主義おでん屋」で働く金子文子は、「犬ころ」という詩に心惹かれ、この詩を書いた朝鮮人アナキストの朴烈(パクヨル)に同棲を提案。恋人として、唯一無二の同志として、二人は生きることを決め、日本人や在日朝鮮人による「不逞社」を結成する。日本統治下で従順でない朝鮮人が「不逞鮮人」と呼ばれていたのを逆手に取った名前だった。
9月1日午前11時58分、関東大震災発生。「朝鮮人が暴動を起こしている」という流言が広がり、9月2日、戒厳令が公布される。多くの朝鮮人が虐殺される中、9月3日、朴烈と金子文子は、保護検束される・・・

治安警察法違反容疑で起訴され、一旦は死刑判決が出た後、恩赦で無期懲役となった二人。だが、金子文子は、1926年、23歳の若さで獄死する。「何が私をこうさせたか -獄中手記」(岩波書店)という自伝を遺していて、生き様に触れることができる。
文子は、1903年に両親が籍を入れないままに生まれ、無籍で小学校に行けなかった。親類の家を転々とし、9歳から16歳まで、日本に併合された韓国で過ごし、1919年、独立運動を目の当たりにした直後に帰国。日本の植民地主義に反対し、無政府主義者として朴烈と共に国家権力に対して闘った。
潔い女性 金子文子を体現したのは、韓国の女優チェ・ヒソ。大阪・建国小学校で学んだ彼女は、完璧な日本語を話す。一方、日本人という役柄、日本人には発音出来ない朝鮮語の音を意識して話している。
大正時代に、こんな飛んだ女性がいたのかと驚かされた一作。
朴烈がかすんでしまうほどだったが、当の朴烈は、日本の敗戦で1945年10月に出所。1946年10月に在日本居留民団を結成し、初代団長となる。1949年に韓国に帰国するも、朝鮮戦争中に北朝鮮軍に捉えられ、北朝鮮に連行され、1974年北朝鮮で亡くなる。享年71歳。処刑されたと言われていて、実に彼も激動の人生を送っている。
『建築学概論』で初心な青年を演じたイ・ジェフンが、本作では朴烈に限りなく近づく外見に変貌し、日本語も学んでアナキスト朴烈に成り切っている。
また、当時の内務大臣・水野錬太郎を筆頭とする日本政府を劇団「新宿梁山泊」のメンバーが演じているのも見どころ。
『空と風と星の詩人 尹東柱(ユン・ドンジュ)の生涯』で、日韓併合時代の朝鮮人の運命を描いたイ・ジュンイク監督が再び放ってくれた渾身の映画。当時の人々に思いを馳せたい。(咲)


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函、表紙、カバー

この試写が始まる少し前に、本棚を整理している旧友から「読んでみて」と金子文子の黒色戦線社版(再刷増補決定版)「何が私をかうさせたか」と歌集が送られてきました。旧仮名遣い、ルビ入りです。自分の生まれから朴烈と出逢うまでの記述に加えて、再版には短歌百余、「不逞社」で書かれた記事、また手紙などが収められています。小学校にもろくに通わせてもらえなかった文子が、21,2歳でこれだけの文章を書いていたことに驚きました。幼少期からの苛烈な境遇に屈せず、強い精神と思想を育んでいながら(いや、だからか)自死してしまったのが惜しいです。
聡明な彼女は、たとえ権力が交代してもまた同じ繰り返しになるだろうということも書いています。人の悪意や欲に傷つき、骨身に刻まれていることから出ている虚無感でしょう。朴烈と離れ離れに獄につながれ、死刑判決から無期懲役の恩赦を得て生き永らえることは、魂の死であったはず。ただこの二人に悲壮感は感じられません。文子は被告席でとうとうと持論を展開して、場を得た高揚感さえ覚えたのではないかしらん。
チェ・ヒソとイ・ジェフンの演じる二人(なんだかとても色っぽい)に、本当にこういう人たちだったかも、と想像。ガード下に響いていただろう文子の明るい声を思いました。瀬戸内寂聴「余白の春」にも、文子が書き留められています。(白)


2017年/韓国/129分/DCP
提供:太秦、キノ・シネマ
配給・宣伝:太秦 
公式サイト:http://www.fumiko-yeol.com/
★2019年2月16日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
posted by sakiko at 21:53| Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

盆唄

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監督:中江裕司
撮影:平林聡一郎
アニメーション:池亜佐美
出演:福島双葉町のみなさん、マウイ太鼓ほか 
テアトル新宿ほか全国順次ロードショー!フォーラム福島、まちポレいわきも同時公開!
声の出演(アニメーション):余貴美子、柄本明、村上淳、和田聰宏、桜庭梨那、小柴亮太

2015年。東日本大震災から4年経過した後も、福島県双葉町の人々は散り散りに避難先での生活を送り、先祖代々守り続けていた伝統「盆唄」存続の危機にひそかに胸を痛めていた。そんな中、100年以上前に福島からハワイに移住した人々が伝えた盆踊りがフクシマオンドとなって、今も日系人に愛され熱狂的に踊られていることを知る。町一番の唄い手、太鼓の名手ら双葉町のメンバーは、ハワイ・マウイ島へと向かう。自分たちの伝統を絶やすことなく後世に伝えられるのではという、新たな希望と共に奮闘が始まった。
映画は福島、ハワイ、そして富山へと舞台を移し、やがて故郷と共にあった盆唄が、故郷を離れて生きる人々のルーツを明らかにしていく。盆踊りとは、移民とは。そして唄とは何かを見つめ、暗闇の向こうにともるやぐらの灯りが、未来を照らす200年を超える物語。

(堀)
2018年/日本/カラー/シネスコ/134分
配給:ビターズ・エンド
(C)2018テレコムスタッフ
http://www.bitters.co.jp/bon-uta/
★2019年2月15日(金)テアトル新宿ほか全国順次ロードショー!フォーラム福島、まちポレいわきも同時公開!
☆中江裕司監督インタビューはこちら
posted by shiraishi at 13:28| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

女王陛下のお気に入り(原題:The Favourite)

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監督:ヨルゴス・ランティモス
脚本:デボラ・デイヴィス、トニー・マクナマラ
撮影:ロビー・ライアン
衣装:サンディ・パウエル
出演:オリヴィア・コールマン(アン女王)、レイチェル・ワイズ(レディ・サラ/サラ・チャーチル)、エマ・ストーン(アビゲイル・ヒル)、ニコラス・ホルト(ロバート・ハーリー)、ジョー・アルウィン(サミュエル・マシャム)

18世紀初頭、アン女王が統治するイングランド。モールバラ公爵の妻サラはアン女王と幼馴染で、誰よりも王女と親しい。その地位を利用して女王を意のままにしていた。没落した貴族の娘アビゲイルがサラの従姉妹と名乗ってやってくる。召使として雇われたアビゲイルは、女王が痛風で苦しんでいるのを知って、薬草で手当てをする。寝室に入った罰として、鞭打たれるが痛みがひいたことから侍女に取り立てられた。
イングランド議会は、フランスとの戦争を継続推進したいホイッグ党と終結派のトーリー党、二つに割れて争っていた。トーリー党のハーリーは、王女とサラの間近にいるアビゲイルを抱き込んで有利な情報を得ようと接近してくる。

女優3人が火花を散らす宮廷劇。権力に目がくらむのに男女差はないようです。17人も子供を産みながら、孤独なアン女王。そんな女王を手玉に取るサラ、召使からのし上がっていくアビゲイル。女王も無邪気かというとそれだけでもなく、寵愛をえさに楽しんでいるところもあります。男性は少しだけしか絡まず、もっぱらこの3人の駆け引きをスリリングに見せています。射撃でアビゲイルをを脅すサラ、顔は微笑みながらウサギを踏みつけるアビゲイル、しみじみ怖いです。
宮殿の家具調度や衣装は、じっくり観たくなります。くるくるカールの大きな鬘に、白塗りのお化粧をしたハーリーたちの姿は、今観るとヘンですが当時はこれが上流の男性のお姿。文化は変遷します。
第75回ヴェネチア映画祭で銀獅子賞(審査員大賞)、女優賞(オリヴィア・コールマン)受賞しています。(白)


2018年/アイルランド・イギリス・アメリカ合作/カラー/シネスコ/120分
配給:20世紀FOX
(C)2018 Twentieth Century Fox
http://www.foxmovies-jp.com/Joouheika/
★2019年2月15日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 13:25| Comment(0) | イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

洗骨

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監督・脚本:照屋年之
音楽:佐原一哉
主題歌:古謝美佐子
出演:奥田瑛二(新城信綱)、筒井道隆(新城 剛)、水崎綾女(新城優子)、大島蓉子(高安信子)、坂本あきら(高安 豊)、山城智二(高安 悟)、前原エリ(高安マキ)、筒井真理子(新城恵美子)

沖縄の離島、粟国島・粟国村に住む新城家。長男の新城剛(筒井道隆)は、母・恵美子(筒井真理子)の“洗骨”のために、4 年ぶりに故郷・粟国島に戻ってきた。実家には、剛の父・信綱(奥田瑛二)が一人で住んでいる。生活は荒れており、恵美子の死をきっかけにやめたはずのお酒も隠れて飲んでいる始末。そこへ、名古屋で美容師として活躍している長女・優子(水崎綾女)も帰って来るが、優子の様子に家族一同驚きを隠せない。様々な人生の苦労とそれぞれの思いを抱え、家族が一つになるはずの“洗骨”の儀式まであと数日、果たして 彼らは家族の絆を取り戻せるのだろうか?

ゴリさんこと照屋年之監督が「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア(SSFF&ASIA)2017」で発表し、高い評価を受けた短編映画『born、bone、墓音。』をもとにした長編。映画を作るときはこれからも本名でいくそうで、このお名前を覚えておいてください。
沖縄というとご先祖様を敬い、家族の結びつきも強いイメージを持っています。お墓の前でみんなでご飯を食べるというのを聞いたことがありますが、「洗骨」の風習が残っているところもあるんですね。少しずつ無くなっていくのでしょうから、こういう形で残って良かったです。この世とあの世の境目もあるというのも面白いです。命が繋がる象徴のように出産シーンもあるんですが、ここの台詞の一言がひっかかり、これは男性の脚本だな、と思いました。照屋監督が脚本も書いていたので、ほりきさんがインタビューしたとき、撮影の最中にでも聞いてみてね、と頼みました。で、あの笑顔だったそうです。さて、皆様はどうでしょうか?(白)


(堀)

2018年/日本/カラー/シネスコ/111分
配給:ファントム・フィルム
(C)『洗骨』製作委員会
http://senkotsu-movie.com/
★2019年1月18日(金)から沖縄先行公開、2月9日(土)全国公開
☆照屋年之監督インタビューはこちら
posted by shiraishi at 13:18| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

コードギアス 復活のルルーシュ

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監督:谷口悟朗
脚本:大河内一楼
キャラクターデザイン原案:CLAMP
キャラクターデザイン:木村貴宏
ナイトメアフレームデザイン原案:安田 朗
ナイトメアフレームデザイン:中田栄治
メカニカルデザイン・コンセプトデザイン:寺岡賢司
メインアニメーター:木村貴宏、千羽由利子、中田栄治、中谷誠一
美術監督:菱沼由典
撮影監督:千葉洋之
音楽:中川幸太郎
声の出演:ゆかな(C.C.)、櫻井孝宏(スザク)、名塚佳織(ナナリー)、小清水亜美(カレン)、白鳥哲(ロイド)、新井里美(咲世子)、戸田恵子(シャムナ)、村瀬歩(シャリオ)、大塚明夫(フォーグナー)、島崎信長(シェスタール)、高木渉(ビトゥル)、津田健次郎(クジャパット)

<これまでのストーリー>

神聖ブリタニア帝国の皇子ルルーシュは母を暗殺され、妹ナナリーとともに日本に避難した。ところが、ブリタニアは日本に侵攻。ルルーシュは父である皇帝に見捨てられた思い込み、ナナリーのために平和な世界を作ることを誓う。その後、不老不死の少女C.C.と出会い、対象者に絶対順守の力として働く「ギアス」を手に入れる。それを機に、仮面の男ゼロと名乗り、反ブリタニア勢力「黒の騎士団」を結成。ギアスの力と天才的頭脳でブリタニアに戦いを挑む。激戦の末、ルルーシュは各国と連携し、超合集国を結成。神聖ブリタニア帝国皇帝である父親を倒す。そして、世界の収束を図るため、親友のスザクとゼロレクイエムを開始。それはルルーシュがブリタニア帝国皇帝に就任し、恐怖政治を行うことで憎しみの対象となった上で、仮面の男ゼロに扮したスザクが民衆の前でルルーシュを暗殺し、争いの連鎖を断ち切るというものだった。ルルーシュの犠牲によって世界は1つになり、平和が訪れた。

登場人物の分かりやすく、詳しい説明はこちら

<今回のストーリー>

ルルーシュの死後、世界は再編成された超合集国を中心にまとまり、人々は平和に暮らしていた。ところが、難民キャンプを慰問していたナナリー、仮面の男ゼロとしてナナリーに同行していたスザクの2人が何者かに連れ去られてしまう。カレン、ロイド、咲世子はブリタニア帝国皇族シュナイゼルの密命を受け、ジルクスタン王国に潜入。そこで、各地を放浪していたC.C.と再会する。C.C.はカレンたちと行動をともにし、スザクを助け出した。そして、仮面の男ゼロをリーダーにナナリー奪還に挑む。


「コードギアス 反逆のルルーシュ」(2006年)、「コードギアス 反逆のルルーシュR2」(2008年)は2000年代を代表する人気アニメ。2017年に新規アフレコと新たなカットを加えて再構築され、劇場版三部作として公開された。『コードギアス 復活のルルーシュ』はその後を描いた作品である。現在でもファンが多く、2月9日に日付が変わってすぐに行われた最速上映はチケット発売と同時に完売したという。
TVシリーズが放送されていた頃から10年の月日が経過し、現実でも技術が進歩している。スザクが乗るランスロットの操縦席にもそういった技術が反映されているのが感じられた。一方、TVシリーズで使われていた音楽が場面に応じて流れ、「そうそう、ここはこの音楽よね」と、変わらぬよさをも感じる。また、2時間弱という尺のため、メインキャストはかなり絞っているものの、数多のキャラクターを少しでも登場させた脚本は見事としかいいようがない。
ルルーシュが命を懸けてもたらした平和はその後、どうなったのか。現実にも通じる部分があるような気がする。(堀)


最終試写が重なりどっちに行こうか迷って、この作品を選びました。アニメはビジュアルだけでうう~むと敬遠したくなるものもありますが、試写状で見たキャラクターの造形と色使いがいいなぁと。
前作を観ていなくても、これだけで楽しめました。帰ってすぐ、前作を観る方法を検索したのはいうまでもありません。有料チャンネルや配信でも見られるようですね。図書館にシリーズの文庫本があったので、とりあえずそちらを読んで世界を把握しようと思います。(白)


2018年/日本/カラー/113分
配給:ショウゲート
(c)SUNRISE/PROJECT L-GEASS Character Design(c)2006-2018 CLAMP・ST


★2019年2月9日(土)ロードショー
posted by shiraishi at 13:11| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ノーザン・ソウル(原題:Northern Soul)

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監督・脚本:エレイン・コンスタンティン
撮影:サイモン・ティンダール
出演:エリオット・ジェームズ・ラングリッジ(ジョン)、ジョシュ・ホワイトハウス(マット)、スティーブ・クーガン(バンクス)、アントニア・トーマス(アンジェラ)

1974年、景気が冷え込んだイングランド北部の町。高校生のジョンは居場所も友達もなく、退屈な毎日に倦んでいた。しぶしぶ行ったユースクラブで一人ステップを踏むマットに出逢った。マットがのめりこんでいる”ノーザン・ソウル”に自分も惹かれていく。マットとジョンはクラブでのDJを目指し、アメリカで自分だけのレコードを探し出すことを夢見る。

”ノーザン・ソウル”はイングランド北部のクラブで流行っていたソウルミュージック。知られていないシングルレコードを探して、自分だけのセットリストを作るのがDJの矜持だったようです。ダンスに興じる若者たちも、その曲が誰のなんという曲なのかあてるのも楽しみの一つ。ジョンが気に入ったDJの“COVER UP(隠蔽)”を見つけるのに躍起になっているシーンがあります。
ダンスのステップもぬきんでてカッコいい子がいれば、さっそく皆がそのステップを真似るシーンもあり、日本でも同じ風景だったわ、とちょっと懐かしくなりました。ジョン役のエリオット・ジェームズ・ラングリッジ、マット役のジョシュ・ホワイトハウスマットもこれが映画デビュー作。ジョシュは主演した『モダンライフ・イズ・ラビッシュ ロンドンの泣き虫ギタリスト』が昨年公開されています。ちょっと斎藤工くんに似ていませんか?(白)


2014年/イギリス/カラー/DCP/102分
配給:SPACE SHOWER FILMS
(C)2014 Stubborn Heart Films (Heart Of Soul Productions) Limited All Rights Reserved.
http://northernsoul-film.com/
★2019年2月9日(土)ロードショー
posted by shiraishi at 12:50| Comment(0) | イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

アクアマン(原題:Aquaman)

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監督:ジェームズ・ワン
脚本:デビッド・レスリー・ジョンソン、ウィル・ビール
撮影:ドン・バージェス
美術:ビル・ブルゼスキー
音楽:ルパート・グレッグソン=ウィリアムズ
出演:ジェイソン・モモア(アーサー・カリー/アクアマン)、アンバー・ハード(メラ)、ウィレム・デフォー(バルコ)、パトリック・ウィルソン(オーム)、ドルフ・ラングレン(ネレウス)、ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世(ブラックマンタ)、ニコール・キッドマン(アトランナ)

アーサーは海底王国アトランティスの王女と灯台守の間に生まれたが、母アトランタはアーサーが幼い頃に王国に連れ戻され、父の手で育てられる。逞しい男に成長したある日、赤い髪の美女メラが海からやってきて驚くべきことを告げる。アトランティス帝国の若き王・異父弟のオームが、この地上を侵略してくる。その危機を救うのは、二つの世界を一つにできるアーサーだけだというのだ。アーサーはメラに伴われアトランティスに向かう。高度な文明が発達を遂げた海底では、いくつもの王国が覇を競っていた。

DCコミックスのスーパーヒーロー、アクアマンは『ジャスティス・リーグ』(2017)にも登場していますが、本作は両親の出逢いから子ども時代、そしてアクアマンとして海底と地上で活躍する様を描いています。ハワイ出身のジェイソン・モモアの明るく親しみやすいヒーローと、いかにも若様なパトリック・ウィルソンのオーム、美しくて強いヒロインのアンバー・ハードのメラ、助演の俳優さんも豪華です。
海底王国とキャラクターの造形、衣装、美術が素晴らしくて最初に海底王国に入ったシーンでは、おー!と目を見張ってしまいました。CG満載のアクションもずいぶん観てきましたが、水の中のアクションはまた格別。子ども時代に水族館に行くシーンは、お魚好きな方々は必見です。ご家族そろってお楽しみください。(白)


2018年/アメリカ/カラー/シネスコ/143分
配給:ワーナー・ブラザース映画
(C)2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & c DC Comics
http://wwws.warnerbros.co.jp/aquaman/
★2019年2月8日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 12:49| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年02月03日

ナポリの隣人   原題:La tentazione di essere felici

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監督・脚本:ジャンニ・アメリオ
出演:レナート・カルペンティエーリ、ジョヴァンナ・メッゾジョルノ、エリオ・ジェルマーノ、グレタ・スカッキ、ミカエラ・ラマッツォッティ

南イタリア、ナポリ。元弁護士のロレンツォは、妻に先立たれ、今はアパートで独り暮らし。娘のエレナは母の死が父の浮気が原因だと思っていて、父を許せない。アラビア語の法廷通訳をしているエレナは、息子を一人で育てている。ロレンツォはエレナに内緒で、時々孫を学校帰りに連れ出して会うのが楽しみだ。
ある日、家に帰ってくると、向かいの家に引っ越してきた若い奥さんが鍵を忘れて中に入れないという。それをきっかけに、二人の子どものいる隣りの一家と親しく付き合うようになる。娘や孫とよりも密接な間柄になるが、ある日、隣家に事件が起きる・・・

娘につれなくされている中で、疑似家族のようになった隣家。事件が起こり、深く係わろうとする父に、「家族でもないのに」と諭す娘。 
家族とは? 隣人とは? 生きていく上で、無視することのできない人たち・・・
人との係わり方を、ちょっぴり考えさせられる。

本作で興味を惹いたのは、娘エレナがアラビア語の法廷通訳だということ。
北アフリカや中東からの移民や難民も多いイタリアでは、アラビア語の法廷通訳という仕事の役割も大きいことと思う。仕事中の娘を見つめる父の眼差しにも注目したい。
法廷でエレナがアラブの詩人の言葉を引用する場面がある。「幸せは目指す場所ではなく帰る家にある。行き先ではなく後にある」 印象的な詩だが、さて、故国に帰れない難民たちにとって、どう理解すればいいのだろう・・・  (咲)

2017年/イタリア/108分/シネマスコープ/カラー
配給:ザジフィルムズ
公式サイト:http://www.zaziefilms.com/napoli/
★2019年2月9日(土)より岩波ホールほか全国順次公開




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山(モンテ)  原題:Monte  英題:Mountain 

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監督・脚本・編集・音響:アミール・ナデリ
出演:アンドレア・サルトレッティ、クラウディア・ポテンツァ、ザッカーリア・ザンゲッリーニ、セバスティアン・エイサス、アンナ・ボナイウート

およそ一千年前の中世イタリア。アゴスティーノは、南アルプス山麓の小さな村の外れで妻ニーナと息子ジョヴァンニと暮らしている。立ちはだかる山に太陽の光をさえぎられて、作物が育たず、他の家族はよりよい地を求めて去っていった。だが、アゴスティーノは先祖や娘の墓を守るため、この地を離れようとしなかった。周囲から異端者として差別され、遂にはそこに暮らすことも禁じられ、家族と引き離されてしまう。
アゴスティーノは、斧を手に、狂ったように山を砕き始める・・・・

ひたすら山と対峙するアゴスティーノ。ナデリ監督の過去の映画、『水、風、砂』(1989)では、砂嵐の中、水を捜し求める少年、『サウンド・バリア』(2005)では、母の声の入ったカセットテープを探す少年、『ベガス』では庭を掘り続ける男・・・と、執拗なまでに目的に向かって突進する姿を描いて、観る者にも極限状態を突きつけてきた。
ナデリ監督の映画の原点はどの映画も「不可能なものを可能にする」というイランの詩。本作では、太陽の光を先祖代々の地にあびせたいと、山を崩すという途方もないことに挑む男。15年以上、山の映画をと思い、アメリカ、日本、韓国でも探したけれどイメージに合わず、どこからか呼ばれているような気がして、やっとイタリアでここだという山に出会ったとのこと。彫刻のようなイタリアの俳優たちと、険しい山が一体となって、中世の雰囲気をかもし出している。
脚本をつくり、キャスティングし、撮影を終えると、実は編集と音は東京の西荻の部屋に6か月籠って行ったそうだ。
そして、世界のどこにいても、東京フィルメックスの時には、日本に戻ってきてくれるナデリ監督。この『山<モンテ>』が上映された2016年にも、彫刻のような男優アンドレア・サルトレッティさんを伴って上映後のQ&Aに登壇したのが懐かしい。
昨年の東京フィルメックスでは、ナデリ監督特集が組まれ、ロビーで自ら「モンテ、モンテ」と、チラシを配るナデリ監督の姿があった。忍耐を試されることを覚悟の上で、ナデリの描き出した中世イタリアをどうぞ! (咲)

公式サイト、アミール・ナデリ監督による解説をぜひお読みください。

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2016年の東京フィルメックスでのQ&Aの模様は、こちらで

■アップリンク吉祥寺 イベント
2/9(土)10:00—11:49
上映後舞台挨拶 登壇者:アミール・ナデリ監督

2/10(日)11:00—12:49
上映後トークショー 登壇者:アミール・ナデリ監督、黒沢清監督


第73回ヴェネツィア国際映画祭「監督・ばんざい!賞」受賞

2016年/イタリア・アメリカ・フランス/107分
配給:ニコニコフィルム
公式サイト: http://monte-movie.com/
★2019年2月9日(土)よりアップリンク吉祥寺にて公開、以降全国順次公開



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デッドエンドの思い出  英題 Memories of a Dead End

2019年2月2日(土) シネマスコーレにて名古屋先行公開
2月16日(土) 新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー

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(C)2018「Memories of a Dead End」 FILM Partners

監督:チェ・ヒョンヨン
原作:よしもとばなな
脚本:チェ・ヒョンヨン
撮影:ソン・サンセ
照明:大久保礼司
キャスト
ユミ:チェ・スヨン 
西山:田中俊介 
ユジョン:ペ・ヌリ
テギュ:アン・ボヒョン
ジンソン:ドン・ヒョンベ

吉本ばななの「デッドエンドの思い出]を元に日韓共同製作で紡ぐ物語

主人公ユミは、遠距離恋愛中の婚約者テギュからの連絡が途絶え、彼を追いかけて韓国から名古屋へやって来たが、彼には新しい恋人がいた。傷ついたユミは、あてもなく名古屋の街をさまよい、古民家を改造したエンドポイント(行き止まり)というカフェ&ゲストハウスにたどり着く。そこで不思議な存在感をもつカフェのオーナー西山と出会った。西山のさりげない優しさや、エンドポイントに集うおせっかいな常連客たちがいつしかユミを癒し、ユミは立ち直っていく。しかし西山にも秘密があった。そして、彼も新たな出発をするのだった。
メガホンをとったのは本作が長編デビューとなるチェ・ヒョンヨン監督。学生時代、日本文学と映画学を韓国で専攻。2010年にはあいち国際女性映画祭のワークショップに招待され、円頓寺商店街を舞台にした短編映画『お箸の行進曲』を監督。名古屋での撮影は2度目。あいち国際女性映画祭2018でお披露目された。

去年(2018)あいち国際女性映画祭で初めて観た時は、いろいろな人が次から次へと出てくるし、名古屋をあちこち移動していたし、関係性や話の流れがわからなかったけど、2回観て理解することができた。それにしても、韓国の俳優さんたちの日本語うまい!(暁)


製作2018年/韓国・日本合作 配給アーク・フィルムズ
posted by akemi at 03:59| Comment(0) | 日本・韓国合作 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年02月02日

ねことじいちゃん

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監督:岩合光昭
原作:ねこまき(ミューズワーク)
脚本:坪田 文
撮影:石垣 求
音楽:安川午朗
フードスタイリスト:飯島奈美
アニマルコーディネーター:菊田秀逸
出演:立川志の輔(春山大吉/じいちゃん)、タマ(ベーコン/春山家の猫)、小林薫(巌/漁師)、柴咲コウ(美智子/カフェオーナー)、田中裕子(春山よしえ)、柄本祟(若村健太郎/島の医者)

海の幸、山の幸に恵まれた小さな島が舞台。元小学校校長の70歳代の大吉は一人暮らし。2年前になくなった妻が幼猫のときに拾ったタマが相棒だ。いまやタマに起こしてもらい、タマの先導で散歩とタマなしでは生きられない。そのタマは幼馴なじみのサチが飼っているミーちゃんに夢中。そのサチに同じ幼馴染みの巌が淡い恋心を抱いている。そんなのどかな島に超美人の美智子がやってきてカフェを開く。さあ大変。島でたった一つの診療所の新任医者や、爺さんたちが華やぎ、大吉も妻が残したレシピを美智子さんに習って作り始めて…

若者は都会に出て行き、高齢者と猫ばかりの島。ストーリーものんびり、これと言った大事件もなく淡々と流れる。そんな中で飼い猫、野良猫分け隔てなく島のみんなでまったりと育てる姿が心温まる。介護問題、高齢者の愛、若い子の初恋、顔を合わせれば喧嘩ばかりのばあさん同士などテーマはいろいろはいっているけど猫に比重がある分人間物語は薄い。これが山田洋次監督だったら笑いあり涙ありの人情いっぱいの映画になったかもしれないけれど、こういう視点の映画も楽しい。サチさんがプリンスエドワード島のアンの服みたいなの着てるのはちょっと違和感が…島の流行なのかな。
そうは言っても、さすが岩合監督だけあって映像は美しい。風景と猫がマッチした絶妙なショットが続く。とくにラストシーンの桜とじいさん、タマ、青い空は実にすばらしい。(泉)

2018/日本/カラー/シネスコ/DCP5.1ch/103分
配給 クロックワークス
http://nekojii-movie.com
(C)2018「ねことじいちゃん」製作委員会
★2月22日(金)新宿バルト9ほか全国ロードショー
posted by izumi at 23:58| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ちいさな独裁者   原題:Der Hauptmann

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監督・脚本:ロベルト・シュベンケ
出演:マックス・フーバッヒャー 、フレデリック・ラウ 、ミラン・ペシェル、アレクサンダー・フェーリング

1945年4月、第二次世界大戦末期のドイツ。敗戦の気配が漂い、兵士たちの脱走が相次いでいた。そんな一人、まだ20代そこそこのヘロルトは、道ばたで大尉の軍服を拾う。身にまとい、大尉に成りすました彼は、道中出会った脱走兵たちを次々と配下に従える。収容所では、ヒトラー総統からの命令だと巧みな嘘をつき、簡易裁判を行い、即決で人々を処刑していく・・・

終戦間際、数千人の脱走兵がさすらっていたドイツで実際にあった出来事をもとにした物語。ヘロルトは一時80人もの兵士を配下に従えたという。12人が最後までヘロルト親衛隊として、ヘロルトの指揮のもと処刑を繰り返した。1945年4月12日には、囚人に深さ1.8メートルの穴を掘らせ、対空砲で彼らを処刑し、さらに機関銃で100人近い兵士を殺し穴に突き落としたという。(実在の人物については、公式サイトで詳細を!)

敗戦の色濃い中で、皆が正気でなかった時代とはいえ、一兵卒の若造を大尉だと信じてしまって、蛮行を許したことに驚かされる。人はいかに権威に弱いか。そして、権力を手にした時、人はそれをふりかざしたくなる生き物だということを見せつけてくれる。それは、決して、本作のような戦争という異常な状況の中だけで起こることではないのも皆が知っていること。 権威にこだわる人ほど、それを失った時に生きる気力をなくすことも!(咲)

2017年/ドイツ・フランス・ポーランド/119分
配給:シンカ、アルバトロス・フィルム、STAR CHANNEL MOVIES
(C)2017 - Filmgalerie 451, Alfama Films, Opus Film
公式サイト:http://dokusaisha-movie.jp/
★2019年2月8日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開
posted by sakiko at 20:42| Comment(0) | ドイツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年02月01日

がんになる前に知っておくこと

ganninaru.jpg

監督・撮影・編集:三宅流
企画・プロデューサー:上原拓治
ナビゲーター:鳴神綾香出演:若尾文彦、勝俣範之、山内英子、唐澤久美子、有賀悦子、大野智、近藤まゆみ、橋本久美子、山口ひとみ、土井卓子、秋山正子、岩城典子、塩崎良子、岸田徹、鈴木美穂

がんについての正しい情報はどこで得られるのか。がんの治療法にはどのようなものがあり、どう選べばいいのか。身体や心の痛みはどうしたら軽減できるのか。そして、がんになった時、人は何を感じ、想い、どのように生きていけるのか…。
検診で「乳がんの疑いあり」と判定された経験をもつ若手女優、鳴神綾香をナビゲーターに迎え、がん治療を専門としている腫瘍内科医、外科医、放射線腫瘍医をはじめとした医療従事者や、がんサバイバーなど15人との対話を通して、がんについての基本的な知識を一から学ぶドキュメンタリー。

この映画は、上原プロデューサーの義妹さんががんになったことがきっかけでできたのだそうです。身近な人がかかって初めてその病気へ関心を持ち、何も知らなかったことに気づくのは私自身も経験しました。祖父、実父、叔父叔母・・・親戚の何人もが、がんで亡くなりました。先に逝ってしまった年下の友人もそうです。そして何人もが今治療中です。たくさん見てきてわかったのは、当たり前だけれど「一人ずつみな違うので、その人に合った治療と生き方を選ぶ」ということでした。昔と違って、本人への告知やほかの医師の意見を聞く(セカンドオピニオン)こともできます。いくつもの選択肢があること、その相談もできること、をまず知ってください。
2日の朝日新聞beに、ちょうどこの映画に登場した秋山正子さん(マギーズ東京センター長)の記事がありました。マギーズ東京は豊洲に2016年、その前2011年に開設した「暮らしの保健室」は全国50箇所に。保健室のような相談窓口だそうです。(白)


2人に1人はがんに罹る時代。医療は進んでいる。「がん=死。抗がん剤治療は副作用が強く、髪が抜け、吐き気が酷い」という認識は30年くらい古いものだという。緩和ケアもがんの末期になり、医療では何もできなくなったときに受けるものではなく、抗がん剤治療と同時に始めて、副作用を乗り切って、QOL(クオリティ・オブ・ライフ=人生の質)を下げないことを目指すものだそうだ。また、医療関係者だけでなく、がんサバイバーの方の話も出てくるが、退院後のQOLを考えるにあたって、「なるほど」うことばかり。がんに罹ったら諦めて死を待つのではなく、きちんとした情報を集めて対処すれば治る。治った後の生活もQOLを下げなくていい。正確な医療情報を見極めるためにも、この作品でがんについて知っておくことは、自分や家族のために重要なことである。(堀)

2018年/日本/カラー/シネスコ/108分
配給:上原商店
(c)2018 uehara-shouten
http://ganninarumaeni.com/
★2019年2月2日(土)より新宿K's cinemaほか全国順次公開
posted by shiraishi at 09:52| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

眠る村

nemuru.jpg

監督:齊藤潤一、鎌田麗香
プロデューサー:阿武野勝彦
撮影:坂井洋紀
ナレーション:仲代達矢

昭和36年、三重と奈良にまたがる葛尾村の懇親会でぶどう酒を飲んだ女性5人が死亡した。ぶどう酒には農薬が混入しており、6日後奥西勝が逮捕され、犯行を認めた。妻と愛人との三角関係を清算するためと自白。初公判では、自白は強要されたとして奥西は無罪を主張する。一審は無罪となったが、二審では逆転死刑となった。奥西は上告を棄却され、昭和47年死刑が確定する。奥西の母は息子の無罪を信じ、再審を求め続けた。その母も亡くなり、妹が引き継ぐ。奥西は独房生活を続けた挙句、医療刑務所で平成27年死亡。89歳だった。
今もなお多くの謎が残る事件を東海テレビ放送が追う。葛尾村の人々を訪ねて話を聞くのだが・・・。

東海テレビ放送が製作した劇映画『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』(2012)で奥西勝を演じた仲代達矢さんのナレーションでドキュメンタリーが進んでいきます。『約束~』では、樹木希林さんが息子のもとへ通い続ける母・奥西タツノさんを演じていました。
法律では自白だけを理由に有罪とするのは禁じられている」のですが、いったん自白すれば、それを言質に有罪のための証拠固めが行われるだろうことは想像にかたくありません。「疑わしきは被告人の利益に」というのは「一人も冤罪を出してはいけない」という大原則に基づいたもの。それが二審の結果であったでしょう。この事件が冤罪であったなら真犯人・真実はいったいどこに?未解決の事件はあまたありますが、犯した罪を封印して生き続けるにはあまりに重い記憶なのではないでしょうか?(白)


2018年/日本/カラー/シネスコ/96分
配給:東海テレビ放送
(c)東海テレビ放送
http://www.nemuru-mura.com/
★2019年2月2日(土)より東京・ポレポレ東中野にて公開ほか全国順次
posted by shiraishi at 09:40| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ともしび(原題Hannah)

tomosibi.jpg

監督・脚本:アンドレア・パラオロ
撮影:チェイス・アーヴィン
出演:シャーロット・ランプリング(アンナ)、アンドレ・ウィルム(アンナの夫)、ステファニー・バン・ビーブ(エレーヌ)、シモン・ビショップ(二コラ)、ファトゥ・トラオレ(演技の先生)

アンナは夫と二人つつましく暮らしている。毎日食事を作り、演劇クラスと水泳を楽しみ、富裕な家族の家政婦の仕事に出かける。ずっと続くかと思われた平穏な日々が、突然夫が逮捕されたことによって破られてしまう。アンナのこれまでの日常に少しずつ狂いが生じ、楽しみも一つずつ奪われていく。ある日、階上の家の水漏れで、天井を修理することになった。大きな戸棚を移動して、その裏側に夫が隠した写真を見つけてしまった。夫の罪の証拠となるものだった。

『まぼろし』(2001)『さざなみ』(2015)とひらがな4文字の作品が続いたシャーロット・ランプリング。作品はどれも長く連れ添った夫婦についてのドラマです。夫役のアンドレ・ウィルムは『ル・ア-ヴルの靴みがき』(2011)の男優さん。アンドレア・パラオロ監督はこれが長編2作目の方です。若いのに、どうして老夫婦の機微をこんな風にとらえることができるのでしょう?
容赦なくアップになるのに抗わず、年取った身体もさらすシャーロット・ランプリング。カッコよく年を取っていく女優さんだなぁと毎回感じ入っています。入れ歯を外して演技した樹木希林さんが思い出されました。
どのシーンも台詞が少なく、雄弁に物語っているのは彼女の表情。孤独と絶望の中でかすかなともしびを見い出せるのか?この人がいてこその作品でした。落ち着いた色合いの撮影が美しい本作で、ところどころに花や風船の明るいさし色が入ります。シャーロット・ランプリングの着こなしが素敵で、セーターに小さなアクセサリー、地味な色のコートに色とりどりのスカーフが合わせてありました。それも見どころ。(白)


2017年/フランス・イタリア・ベルギー/カラー/シネスコ/93分
配給:彩プロ
2017 (C) Partner Media Investment - Left Field Ventures - Good Fortune Films
http://tomoshibi.ayapro.ne.jp/
★2019年2月2日(土)ロードショー
posted by shiraishi at 09:28| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

メリー・ポピンズ リターンズ(原題:Mary Poppins Returns) 

★『メリポリ』本ビジュアル.jpg

監督・スクリーン・ストーリー:ロブ・マーシャル
スクリーン・ストーリー・脚本: デヴィッド・マギー
音楽製作総指揮:マイク・ハイアム
歌曲・音楽:マーク・シェイマン
歌曲:スコット・ウィットマン
衣裳デザイナー:サンディ・パウエル
編集:ワイアット・スミス
出演:メリー・ポピンズ:エミリー・ブラント(平原綾香)
ジャック: リン=マニュエル・ミランダ(岸祐二)
マイケル・バンクス:ベン・ウィショー(谷原章介)
ジェーン・バンクス:エミリー・モーティマー(堀内敬子)
エレン:ジュリー・ウォルターズ(木村有里)
ミスター・ウィルキンズ:コリン・ファース(森田順平)
トプシー:メリル・ストリープ(島田歌穂)

大恐慌を迎え暗く厳しい時代のロンドン。マイケル・バンクス(ベン・ウィショー)は妻を亡くし、3人の子どもたち、アナベル(ピクシー・デイヴィーズ)、ジョン(ナサナエル・サレー)、ジョージー(ジョエル・ドーソン)とともに、桜通り17番地に暮らしていた。画家を諦め、かつて父や祖父が働いていたフィデリティ銀行で臨時の仕事に就いていたが、金銭的な余裕はなく、追い打ちをかけるように、融資の返済期限切れで家を失う大ピンチに陥ってしまう。
そんなとき、魔法使いメリー・ポピンズ(エミリー・ブラント)が風に乗って彼らのもとに舞い降りた。20年前と同様にバンクス家の子どもたちの世話をしに来たと言う彼女は、一風変わった方法でバンクス家の子どもたちの “しつけ”を開始。バスタブの底を抜けて海底探検をし、絵画の世界に飛び込み、華麗なるミュージカル・ショーを繰り広げる。そんな彼女に子ども達は少しずつ心を開き始めるが、実は彼女の本当の魔法は、まだまだ始まったばかりだった…。


『メリーポピンズ』から54年。バンクス家の危機にメリーポピンズが帰ってきた。マイケルたちが抱える大きな問題は表面的には滞ってしまった家のローン。しかし、その根底には子どもたちの母を喪ったことがある。メリーポピンズは子どもたちとバスタブや壺の挿し絵の中、摩訶不思議な世界に入り込む。そこで、経験するワクワクハラハラは発想の柔軟性がトラブルを乗り越えるエネルギーになることを子どもたちに伝える。そして、小さな灯り(=希望)があれば、迷わないという。これらのシーンは客席にいながら追体験した気持ちになれるほどファンタジックに描かれていた。
子どもたちの変化がマイケルも変えた。家族みんなで問題に立ち向かい、あくまでも乗り越える。メリーポピンズは最後まで諦めない心の強さを与えたにすぎない。そして、前作でのマイケルのささやかな行動がさらなるハッピーをもたらす。そんなさりげないオマージュが心憎い。(堀)


2018年/アメリカ/カラー/131分
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
(C) 2019 Disney Enterprises Inc.

★2019年2月1日(金)全国ロードショー
posted by ほりきみき at 00:00| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする