2019年07月14日

存在のない子供たち   原題:Capharnaum

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監督・脚本: ナディーン・ラバキー
プロデューサー・音楽:ハーレド・ムザンナル
出演: ナディーン・ラバキー、ゼイン・アル=ラフィーア、ヨルダノス・シフェラウ、ボルワティフ・トレジャー・バンコレ

推定12歳の少年ゼイン。法廷で両親を訴える。裁判官から、「どんな罪で?」と聞かれ、「自分を産んだ罪」と、まっすぐに裁判官を見つめて答える。
ゼインは、両親が出生届けを出さなかった為に学校にも行けず、路上で水タンクを運んだり、ティッシュを売って日銭を稼ぐ日々を過ごしている。唯一の心の支えだった妹のサハルが11歳で無理やり結婚させられてしまい、怒りと悲しみから家を飛び出してしまう。行く当てのないゼインを助けてくれたのは、赤ちゃんと二人暮らしのエチオピア移民のラヒル。彼女も不法滞在で、いつも不安な気持ちを抱えていた・・・

原題:Capharnaumは、アラビア語でナフーム村。フランス語では新約聖書のエピソードから転じて、混沌・修羅場の意味合いで使われる。

レバノンのスラムや刑務所など、3年に及ぶ調査の膨大な資料の中から、貧困、児童婚、難民、移民など、様々な問題を凝縮して入れ込んだ渾身の作品。
主人公の少年は、長くレバノンに暮らすパレスチナ難民でもなく、最近流入してきたシリア難民でもない、レバノン人の両親の間に生まれた子。だからこそ、どこの国でもありえる普遍的な物語として捉えることができました。
誇り高いレバノンの人たちの多くは、レバノンの家族にはあり得ないと信じない人も多かったそうです。だからこそ、リアルにこだわり、3年もの調査を重ねたのです。そんなナディーンを支えたのは、『キャラメル』で音楽を担当し、その後、夫となったハーレド・ムザンナル。ナディーンが思うように映画を作れるようにと、本作ではプロデューサーも引き受けています。『存在のない子供たち』は、まさに、二人で作りあげた子供。今回、日本での公開を前に、10歳の息子ワリード君、3歳の娘メイリーンちゃん、そしてご両親も一緒に来日。家族ぐるみで作った映画であるのを感じさせてくれました。
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監督が危惧するのは、このように愛情を受けない子供たちが大人になった時のこと。自分の子供たちに同じことをしてしまう可能性が高く,
犯罪に走る可能性も高いという次第。,今、社会がなんとかしなければという思い。それに応えたいと思うのですが、私には、この映画を観てくださいということくらいしかできないのが悲しい。(咲)


2018年/レバノン・フランス/カラー/アラビア語/125分/シネマスコープ/5.1ch/PG12
配給: キノフィルムズ
(C)2018MoozFilms
★2019年7月20日(土)よりシネスイッチ銀座、ヒューマントラスト渋谷、新宿武蔵野館ほか全国公開





posted by sakiko at 19:04| Comment(0) | レバノン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

アポロ11 完全版   原題:APOLLO11 

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監督・編集・プロデューサー:トッド・ダグラス・ミラー 
出演:ニール・アームストロング、バズ、・オルドリン、ジャネット・アームストロング、マイケル・コリンズ、ジャック・ベニー 他

月面着陸50周年記念ドキュメンタリー

1969年7月16日、アポロ11号はニール・アームストロング船長、マイケル・コリンズ、バズ・オルドリンの3人の宇宙飛行士を乗せ、大勢が見守る中、月に向かって飛び立つ。7月20日、人類史上初の月面着陸を成し遂げる。月面を歩き、星条旗を立てるアームストロング船長。その後、7月24日に地球へ無事生還。

人類が初めて月面に到達して50年。本作は、アメリカ公文書記録管理局(NARA)とNASAにより新たに発掘された、70mmフィルムのアーカイブ映像や11,000時間以上もの音声データを基に制作された。これまでに作られたドキュメンタリーでも使用された素材もあるが、それは70mmの素材を35mmにカットしたものだった。圧倒的な映像が迫ってくる本作。ぜひ劇場で観てほしい。

打ち上げから帰還までの9日間に密着。
打ち上げ前の緊張高まるケネディ宇宙センター。3人の宇宙飛行士が宇宙服に着替える姿と共に、彼ら3人の赤ちゃんの頃から結婚式や家族との写真が映し出される。いよいよ乗り組み、秒読み開始。沿岸には、発射するアポロ11号を見届けようと鈴なりの人、人、人。推定百万人。まさに私たちも、その一人となれる。

米ソが冷戦下にあった1961年、ジョン・F・ケネディ大統領が、10年以内に人類を月に到達させると力強く演説する姿が映し出された。そのケネディ大統領は、1963年11月にダラスで銃弾に倒れ、ソ連に先駆け人類が月面着陸した快挙を知ることがなかったことに思わず涙。でも、このケネディ大統領暗殺が月面着陸をなんとしても成し遂げなければという引き金になったということを知り、これまた歴史の皮肉と唸った。

冷戦という状況の中で進められた宇宙開発競争。月に降り立ったこと自体、驚くべきことだけど、遠く離れた月に到達した映像が届くのも、声が届くのも、思えば不思議。人間の叡智は凄い。
50年前、宇宙飛行士が月面を歩く姿を観た時には、まだ10代だった私。その凄さに実は気がついてなかったような気がする。この50年、科学技術はますます進んでいる。でも、何か忘れてないかと、ふと思う。(咲)

2019年/アメリカ/英語/93分/G  
配給:東北新社 STAR CHANNEL MOVIES
COPYRIGHT © 2019 MOON COLLECTORS LLC
公式サイト:http://apollo11-movie.jp
★2019年月19日(金)より、109シネマズ 二子玉川ほか全国ロードショー





posted by sakiko at 15:30| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年07月13日

チャイルド・プレイ(原題:CHILD’S PLAY) 

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監督:ラース・クレヴバーグ
脚本:タイラー・バートン・スミス
出演:オーブリー・プラザ、ガブリエル・ベイトマン、ブライアン・タイリー・ヘンリー、マーク・ハミル(声の出演)

最先端テクノロジー企業・カスラン社の期待の新商品、“バディ人形”。引っ越しをして友達がいない少年アンディは、誕生日に音声認識やセンサー付きカメラ、高解像度画像認識などの機能が付いた高性能人形を母親からプレゼントされる。自らを“チャッキー”と名乗る人形だが、実は欠陥品だと判明。的外れな受け答えに最初はあきれるアンディだが、「君が一番の親友だよ」と話すチャッキーに次第に夢中になる。その後、“彼”が豹変することなど知らずに――。

きっかけは言葉にした心の不快感。故意に改悪されたプログラム内蔵のAI人形が本音と建前の使い分けや心のひだが理解できず、額面通りに受け取ってしまい暴走。人々を恐怖に陥れる。家電も連携して襲ってくるので、どこでどう襲われるのかが予測もつかない。さらに情報操作により、精神的苦痛も与える。これまでの作品のように怨念によるものではないので、現実に起こりえるかもという不安が恐怖を煽る。また、AI人形でなくても、想像力に欠け、相手の言葉を悪面通りにしか理解できない人が犯罪を起こすかもしれないと恐怖は留まるところを知らない。かなりグロいシーンもあるので自衛が必要。(堀)

2019年/アメリカ/カラー/90分
配給:東和ピクチャーズ
© 2019 Orion Releasing LLC. All Rights Reserved.
CHILD’S PLAY is a trademark of Orion Pictures Corporation. All Rights Reserved.
公式サイト:https://childsplay.jp
★2019年7月19日(金)全国ロードショー
posted by ほりきみき at 18:48| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

暁闇 

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監督・脚本・編集:阿部はりか
音楽:LOWPOPLTD
出演:中尾有伽、青木柚、越後はる香、若杉凩、加藤才紀子、小泉紗希、新井秀幸、折笠慎也、卯ノ原圭吾、石本径代、芦原健介、水橋研二

何に対しても無気力な少年・コウ(青木柚)、学校が終わると見知らぬ男たちとつかのまの関係を持っているユウカ(中尾有伽)、不器用にすれ違う両親の狭間で行き場のない悲しさを抱えるサキ(越後はる香)。誰とも繋がれない寂しさと疎外感を抱えながら、ふとしたきっかけで音楽を通じて出会いを果たした3人。中学生最後の夏休み、都会の片隅にある廃ビルの屋上に集まっては、足りない何かを埋めるように、届かない何かを求めるように、静かに魂を重ね合わせてゆく――。

MOOSIC LABは2012年から始まった新進気鋭の映画監督とアーティストの掛け合わせによる映画制作企画を具現化する音楽×映画プロジェクト。企画段階から映画作家とミュージシャンによる映画と音楽の化学反応を映画に反映して制作し、コンペ形式・対バン形式で上映する異色の映画祭である。本作は2018年の長編部門で準グランプリに輝き、韓国・全州映画祭にてインターナショナル・プレミア上映された。また、青木柚が男優賞を受賞している。
家庭に心落ち着ける場がなく、孤独感と閉塞感に押しつぶされそうになる若者3人が音楽を通じて知り合い、時間を共有する。セリフは少ないが、映像で心情を伝える。3人で見に行った花火大会。煌めく花火の美しさに思わす息を呑む。
自分から繋がろうとすることで居場所は見つかるのだ。まず一歩。踏み出していく彼らを見守っていきたい。(堀)


2018年/日本/カラー/57分
配給:SPOTTED PRODUCTIONS
©2018 Harika Abe/MOOSIC LAB
公式サイト:https://moonlessdawn.com/
★2019年7月20日(土)渋谷ユーロスペース他順次全国公開
posted by ほりきみき at 18:45| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男(原題:The Spy Gone North) 

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監督:ユン・ジョンビン
脚本:クォン・ソンフィ、ユン・ジョンビン
撮影:チェ・チャンミン
音楽:チョ・ヨンウク
出演:ファン・ジョンミン、イ・ソンミン、チョ・ジヌン、チュ・ジフン

1993年、北朝鮮の核開発をめぐって韓半島の危機が高まった。
情報社の出身で国家安全企割部(現在の国家情報院)にスカウトされたパク・ソギョン(ファン・ジョンミン)は“黒金星”(ブラックヴィーナス)というコードネームで北朝鮮の実態を把握するために北の上層部に潜入せよという指令を受ける。
国家安全企割部(通称:安企部(アンギブ)) 海外室長チェ・ハクソン(チョ・ジヌン)と大統領以外には家族すらも彼の実態を知らない中、対北事業化に偽装し、北京駐在 北朝鮮の高位幹部リ・ミョンウン(イ・ソンミン)に近づく黒金星。彼は数年にわたった工作活動の末、リ・ミョンウンの信頼を得て、リを通じて北朝鮮の権力層の信頼を得ることに成功した。
しかし、1997年、韓国の大統領選挙の直前、黒金星は南と北の首脳部の間の隠密な取引を感知する。
祖国のために固い信念で全てをかけて工作活動を遂行していた黒金星は、どうしようもない葛藤に苛まれるのだったが…

韓国人スパイが北朝鮮に潜入するが、大統領選が絡み、立場が危うくなる。展開が早く、政治的な駆け引きも多いので全てを理解するのは難しい。しかし、細かいことがわからなくても大筋はつかめるよう、エンタメ感たっぷりに作られているので問題ない。
作品当時はIT機器などなかった。音声の録音には小型のカセットデッキを使う。テープが反転するときの音で録音に気づかれるのではとハラハラする。カセットテープでの録音経験がない若い世代には、この気持ちが理解できなかっただろう。歳を重ねていることがちょっとうれしくなってしまう。
ところで、作品内で「車やたばこをメイド・イン・ノースコリアにする」という話が出てくる。これは1990年に制定された「南北交流協力に関する法律」によって、北朝鮮産の物品の搬入は「輸入」ではなく「内部交流」とみなし、関税をかけないものとされたことがベースにある。この制度が悪用され、中国産やロシア産のものを北朝鮮産と偽って韓国に持ち込み、関税を逃れていた商社が摘発される事件が起こったのである。このことを知っておくとストーリーがわかりやすいかもしれない。(堀)


韓国のスパイ史上、最も成功した対北工作員として知られる実在の人物をモデルに描いた物語。
国からの「工作員になれ」というひと言で、将校だった身分も、家族も捨てて、事業家として北に潜入する黒金星。3年の時を経て北朝鮮で信頼も得るが、その間に祖国の状況が変わってしまう。そんな悲哀をファン・ジョンミンが体現している。それでも、工作目的で近づいたリ・ミョンウンと心を通わせた一面も見せてくれて、ちょっと嬉しい。
北朝鮮の国家安全保衛部の真面目なエリート課長を演じるチュ・ジフンが、クラブで見よう見真似で踊る場面もなぜだか忘れられない。北朝鮮の人たちも、普通の人たちなのだと思わせてくれる。国家体制で、考え方がちょっと違ってるだけだと。
先日、テレビに黒金星のモデルになった男性が出ていた。敏腕スパイだったとは思えない温厚な方。国家への恨みつらみもあると思うのに、そんなことは口にしない。今は平穏な人生を送られているようだが心中どうなのだろう・・・(咲)


2018年/韓国/カラー/137分
配給:ツイン
ⓒ 2018 CJ ENM CORPORATION ALL RIGHTS RESERVED
公式サイト:http://kosaku-movie.com/
★2019年7月19日(金)シネマート新宿ほか全国ロードショー




posted by ほりきみき at 18:39| Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする