2025年04月20日

30年後 -ふたりのボリビア兵-  原題:Los Viejos Soldados

30nengo.jpg

監督:ホルヘ・サンヒネス
音楽:セルヒオ・プルデンシオ
出演:クリスティアン・メルカード、ロベルト・チョケワンカ

隣国パラグアイとのチャコ戦争(1932年~1935年)の時代。
アイマラ人のセバスティアンは、結婚祝いの最中に白人兵によって暴力的にボリビア軍に徴兵される。足を撃たれ負傷したセバスティアンは、白人兵のギレェルモに助けられる。彼は先住民の文化に興味を持ち、先住民を尊敬していた。ふたりの間に友情が育まれるが、上官の人種差別的な振る舞いに反抗したギレェルモは、軍事裁判で死刑判決を言い渡される。ギレェルモは脱走を図り、セバスティアンも同行するが、やがて二人は再会を誓いながらも別々の道をたどっていく。
ギレェルモは、アイマラ人で教師のベネディクタと恋に落ち、アイマラ人の村で自給自足の生活を始める。一方、セバスティアンは錫鉱山で働き始め、労働争議の先鋒に立つが、やがて国営企業の要職に就く。果たして二人は再会できるのか・・・

スペインの植民地支配から独立を果たしたボリビア。16世紀のスペイン人侵略者の子孫である白人と、先住民、そして混血の人たち。それぞれの文化、価値観が違う中で、本作では、先住民の文化に関心を持ち、自ら先住民の村で暮らし始める白人のギレェルモの存在がなんといっても光ります。貧しいながら、自然と共に暮らしてきた先住民のセバスティアンは、無理矢理徴兵されたことをきっかけに、労働者の権利のために闘うことになります。
かなり強引な植民地支配をした白人に対する理不尽な思いは、おそらく先住民の子孫何代にもわたって拭い去ることはできないでしょう。混血ともなれば、さらに思いは複雑。
世界のどこであっても、多種多様なルーツを持つ人たちが、互いを思いやりながら暮らせる社会であってほしいと願います。(咲)

2022年/カラー/105分
製作:ウカマウ集団
配給:シネマテーク・インディアス
配給協力:スタンス・カンパニー/ムヴィオラ 宣伝:スリーピン
公式サイト:https://www.jca.apc.org/gendai/ukamau/
★2025年4月26日(土)~ 5月23日(金)K's cinema


ウカマウ集団60年の全軌跡
 (『女性ゲリラ、フアナの闘い ボリビア独立秘史』『30年後 -ふたりのボリビア兵』-他 全14作品)
http://cinejour2019ikoufilm.seesaa.net/article/514322506.html
posted by sakiko at 20:50| Comment(0) | ボリビア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

女性ゲリラ、フアナの闘い -ボリビア独立秘史-  原題:Guerrillera de la Patria Grande, Juana Azurduy

josei gellira.jpg

監督:ホルヘ・サンヒネス
音楽:セルヒオ・プルデンシオ
出演:メルセデス・ピティ・カンポス、クリスティアン・メルカード、フェルナンド・アルセ

スペイン植民地支配から、祖国を独立に導いた女性戦士フアナ
彼女はなぜ独立の美酒に酔おうとしなかったのか・・・


1825年、司令官ランサの案内で、解放者シモン・ボリーバルと、ボリビアの初代大統領となるアントニオ・ホセ・デ・スクレが、独立の英雄フアナ・アスルドゥイの家を訪ねる
スペイン支配からようやく独立宣言をした記念式典に、フアナが頑なに出席を拒んでいたからだ。
ボリーバルとスクレに、フアナは自らが経験したことを語り始める。
16年に渡ったスペイン植民地主義者に対する激しい戦いの中で、フアナはゲリラ司令官だった夫を亡くし、4人の子どもも失っていた・・・

フアナ・アスルドゥイ(1780~1862)
チュキサカ(現在のボリビア、スクレ)出身の女性独立運動家。紙幣にもなっている。
父はバスク系白人の農園経営者、母は先住民。スペイン語だけでなく、先住民のケチュア語とアイマラ語も堪能だったといわれる。
1805年、マヌエル・アサンシオ・バディジャと結婚。ふたりは革命家仲間で、スペインからの独立のため、共に武器をとって戦った。夫マヌエルは、もっとも尊敬されたゲリラ司令官だった。夫や子どもを失う不幸に見舞われながらも、ボリビアの陸軍大佐とアルゼンチンの陸軍中佐に任瑛され、6000人に及ぶ軍隊を指揮したと言われている。
1825年にボリビアが独立を果たすと、故郷スクレに帰還。その後、フアナは存在を忘れられ、独立政府から与えられた軍人年金も取り消され、1862年、貧困の中、82歳で亡くなった。
1世紀を経て、独立の英雄として再評価され、遺体はスクレ市がフアナに敬意を表して建立した霊廟に移された。

スペインの植民地支配からの独立を求めて、果敢に闘った女性がいたことを知ることができました。100人を超える独立活動家たちは、闘いの中で多くが命を落とし、独立を果たした祖国を見ることができたのは、ほんのわずかだったそうです。
フアナは独立を見届けましたが、独立しても、まだ平穏な時代にはならないと感じていたようです。
フアナの闘いは、植民地支配からの独立だけでなく、女性として、母親としての権利獲得のためのものでした。サンヒネス監督は、「多くの女性たちに、とりわけ観てほしい」と語っています。 (咲)

2016年/カラー/103分
製作:ウカマウ集団
配給:シネマテーク・インディアス
配給協力:スタンス・カンパニー/ムヴィオラ 宣伝:スリーピン
公式サイト:https://www.jca.apc.org/gendai/ukamau/
★2025年4月26日(土)~ 5月23日(金)K's cinema


Ukamau2025.jpg
ウカマウ集団60年の全軌跡
 (『女性ゲリラ、フアナの闘い ボリビア独立秘史』『30年後 -ふたりのボリビア兵』-他 全14作品)
http://cinejour2019ikoufilm.seesaa.net/article/514322506.html
posted by sakiko at 20:11| Comment(0) | ボリビア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ウカマウ集団60年の全軌跡 (『女性ゲリラ、フアナの闘い ボリビア独立秘史』『30年後 -ふたりのボリビア兵-』他 全14作品)

Ukamau2025.jpg
© Fundación Grupo Ukamau


2025年はボリビア独立200周年の記念年
そして、日本との協働50周年
ウカマウの60年の軌跡の全てを一挙上映!


配給:シネマテーク・インディアス
配給協力:スタンス・カンパニー/ムヴィオラ 宣伝:スリーピン
公式サイト:https://www.jca.apc.org/gendai/ukamau/
★2025年4月26日(土)~ 5月23日(金)K's cinema(新宿)にて開催


南米ボリビアの映画集団ウカマウ
世界をひっくり返した新しい映画運動と時を同じく
60年代から先住民の視点に立った映画づくりを続ける




ウカマウ映画の五原則
〔ホルヘ・サンヒネス監督〕
第一:アンデス世界に固有の円環的な時間概念に基づいた語りの仕組みとしての「長回し」を活用すること

第二:社会的な調和を重んじるアンデス的な概念に照応させて、個人的な主人公ではなく集団的な主人公を重視すること

第三:西洋映画に典型的な方法である、観客を脅しつけ驚愕させることで画面に一体化させてしまう「スペクタクル」を排し、内省的なふり返りを促す方法を生み出すこと

第四:「クローズアップ」の使用をできる限り避けること

第五:他ならぬ歴史的な現実を生き抜いた人びと自身が演技者となるような場で協働すること



南米ボリビアの映画製作集団ウカマウ。世界に新しい映画の波をもたらしたヌーヴェルヴァーグと時を同じく、白人層に力が集中していたボリビアで、住民の半数以上を占める先住民(アイマラ人やケチュア人ら)に無関係な映画を作ることはできないと考えたホルヘ・サンヒネスらを中心に、1962年に活動を開始。今もなお世界に訴えかける映画製作を続けている。その影響力は、中南米、欧米にとどまらずアジアの映画作家に及んでいる。今回の特集では、初上映となる新作2本を含む全14作品を一挙上映。


◆上映作品◆
各作品の内容につきましては、こちらで!
https://www.ks-cinema.com/movie/ukamau60/


女性ゲリラ、フアナの闘い -ボリビア独立秘史-
Guerrillera de la Patria Grande, Juana Azurduy
2016年/カラー/103分
監督:ホルヘ・サンヒネス
シネジャ作品紹介


30年後 -ふたりのボリビア兵-
Los Viejos Soldados
2022年/カラー/105分
監督:ホルヘ・サンヒネス
シネジャ作品紹介

革命
Revolución
64年ライプチッヒ映画祭ヨリス・イヴェンス賞 ほか
1962年/白黒/10分

落盤
Derrumbamiento
¡Aysa!(ケチュア語原題)
1965年/白黒/20分


ウカマウ
Así es
Ukamau(アイマラ語原題)
‘66年カンヌ映画祭青年監督賞
1966年/白黒/75分


コンドルの血
Sangre de Cóndor
Yawar Mallku(ケチュア語原題)
‘70年仏ジョルジュ・サドゥール賞 ほか
1969年/75分/白黒


人民の勇気
El Coraje del Pueblo
‘71年ベルリン映画祭 OCIC(国際カトリック教会)賞
'71ペサロ映画祭最優秀映画賞
1971年/白黒/93分


第一の敵
El Enemigo Principal
Jatun Auk'a(ケチュア語原題)
‘75年カルロヴィヴァリ映画祭グランプリ ほか
1974年/白黒/98分


ここから出ていけ!
Fuera de Aquí!
Lloksy Kaymanta(ケチュア語原題)
‘77年カンヌ映画祭監督週間正式出品 ほか
1977年/白黒/102分


ただひとつの拳のごとく
Las Banderas del Amanecer
‘83年ハバナ新ラテンアメリカ映画祭ドキュメンタリー部門グランプリ
1983年/カラー/92分


地下の民
La Nación Clandestina
‘89年サンセバスチャン映画祭グランプリ
‘89年ハバナ新ラテンアメリカ映画祭 外国紙グラウベル・ローシャ賞
1989年/カラー/125分


鳥の歌
Para Recibir el Canto de los Pájaros
‘95年ロカルノ映画祭「質と刷新」賞
‘95年ボリビア映画祭 銀撫子賞
1995年/カラー/100分


最後の庭の息子たち
Los Hijos del Ultimo Jardín
2003年/カラー/97分


叛乱者たち
Insurgentes
‘13国際政治映画祭第一位(ブエノスアイレス) ほか
2012年/カラー/83分



posted by sakiko at 19:11| Comment(0) | ボリビア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

パリピ孔明 THE MOVIE

paripi.jpg

監督:渋江修平
原作:四葉タト 小川亮
脚本:根本ノンジ
撮影:新出一真
音楽:近谷直之
出演:向井理(諸葛孔明)、上白石萌歌(月見英子)、小林(森山未來)、ディーン・フジオカ(劉備)、神尾楓珠(司馬潤)、詩羽(shin)

三国時代の天才軍師・諸葛孔明がなぜか現代の渋谷に転生してしまった。たまたま耳にしたアマチュアシンガー月見英子の歌声に心奪われた孔明は、英子の軍師となろうと決心する。目指すは音楽での天下泰平。
日本を代表する3大音楽レーベル、KEY TIME、SSSミュージック、V-EXが頂点を競う、史上最大の音楽バトルフェス<MUSIC BATTLE AWARDS 2025>の開催が決定。絶好の機会!と孔明は英子を励まして参戦する。そこにはかつての宿敵の末裔もいた。

テレビ番組を毎週楽しみに観ていた皆様、お待たせしました。劇場版はパワーアップして登場です。メンバーが勢ぞろいしていつものやりとりで笑わせます。英子の一番のライバルとされるのが、司馬懿(しばい)の末裔・司馬潤とその妹でシンガーのshin。負けず嫌いの兄と天真爛漫な妹は苦労してここまで這い上がってきたのです。
何といってもラストの音楽バトルフェスは、必見!これまでのメンバーたちに加え、たくさんのゲストが登場し、熱のこもったパフォーマンスで魅了します。映画を観に来て、ライブも観られてラッキー!!音響の良い劇場の大画面で観るのをおすすめ。スクリーンの6000人以上の観客と一体になってお楽しみください。(白)


2025年/日本/カラー/118分
配給:松竹
(C)四葉夕ト・小川亮/講談社 (C)2025 フジテレビジョン 松竹 講談社 FNS27社
https://movies.shochiku.co.jp/paripikoumei-movie/
★2025年4月25日(金)より全国ロードショー
posted by shiraishi at 00:41| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年04月19日

花まんま

hanamanma.jpg

監督:前田哲
原作:朱川湊人
脚本:北敬太
撮影:山本英夫
出演:鈴木亮平(加藤俊樹)、有村架純(加藤フミ子)、鈴鹿王士(中沢太郎)、ファーストサマーウイカ(三好駒子)、安藤玉恵(加藤ゆうこ)、板橋駿谷(加藤恭平)、オール阪神(三好貞夫)、オール巨人(山田社長)、六角精児(繁田宏一)、キムラ緑子(繁田房枝)、酒向芳(繁田仁)

俊樹とフミ子は両親が交通事故で亡くなってから、2人きりで暮らしている。兄の俊樹は亡き父との約束「妹を守る」を忘れずに、親代わりとして今まで頑張ってきた。中沢太郎とフミ子の結婚が決まり、肩の荷を下ろしたような心持だ。式が近づいたある日、フミ子は俊樹に黙ってある家を訪ねる。子どものころ、俊樹は様子のおかしいフミ子に気づいて理由を聞いたことがあった。封印していた思い出が蘇ってくる。

兄と妹の心温まるストーリーに、不思議なエピソードが加わっています。ネタバレすると興をそぐので書けませんが、ないとは言い切れません。こんなことあったらいいな、とさえ思います。
俳優陣がこの物語を支えてリアルな感情を呼び起こしてくれるのですが、中でも印象に残ったのが酒向芳さんでした。凄みのある悪役、奇怪な役でも存在感を発揮する方で、最初に見たとき「この人は誰!?」と検索しましたっけ。今回の悲しみが服を着ているようなこういう役もハマります。鈴木亮平お兄ちゃんの祝辞もよかったですが、酒向さんの表情に涙腺刺激されました。「花まんま」は子どものころ、野の花を摘んでお弁当箱に詰め、花をごはんに見立てた遊び。キーアイテムになっています。(白)


2025年/日本/カラー/118分
配給:東映
(C)2025「花まんま」製作委員会
https://hanamanma.com/
★2025年4月25日(金)より全国ロードショー
posted by shiraishi at 23:59| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする