2025年06月08日

おばあちゃんと僕の約束 原題:Lahn Mah 英題:How to Make Millions before Grandma Dies

2025年6月13日(金)新宿ピカデリーほか全国順次公開 劇場情報 

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©2024 GDH 559 CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED

監督:パット・ブーンニティパット
製作:ワンリディー・ポンシティサック ジラ・マリクン
脚本:パット・ブーンニティパット トサポン・ティップティンナコーン
出演:
エム:プッティポン・アッサラッタナグン
祖母:ウサー・セームカム、
サンヤ・クナーコン、サリンラット・トーマス

大学を中退してゲーム実況者を目指す青年エムは、従妹のムイが祖父を介護して豪邸を相続したと聞き、自分も楽をして暮らせないかと画策。一人暮らしの祖母メンジが末期癌であることを知り、メンジュに近づき、彼女から信頼され相続を得ようとする。
厳格で気難しい祖母は、早起きしてお粥売って生計を立てていた。エムはいやいやお粥売りを手伝っていたが、祖母の慎ましくも懸命に生きる姿や考え方に触れる中で彼の考えは変わっていった。一緒に暮らし、早起きして仕事を手伝い、病院にも連れて行く。祖母に寄り添って暮らすようになった。
メンジには3人(長男、長女、次男)の子どもがいて、エムは長女の子ども。母はスーパーの仕事をしながら女でひとつでエムを育てていた。長男はそこそこ収入もあり、裕福な生活をしていたが、次男は賭け事好きで借金だらけ。そして、メンジは意外な遺言を遺した。エムはがっかり。でもどんでん返しが…。最後は泣ける。
バンコクの古い町並みの中で、繰り広げられる祖母と孫の心温まる交流を、ユーモアたっぷりに描き、本国タイで大ヒットした他、アジア各地でも若者を中心に支持を集めたヒューマンドラマ。
ドラマ「I Told Sunset About You 僕の愛を君の心で訳して」でブレイクした俳優・ミュージシャンのビルキンことプッティポン・アッサラッタナクンが主人公エムを演じ、祖母役のウシャ・セアムクンが78歳にして俳優デビュー。「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」のサリンラット・トーマットがエムの母を演じた。
タイ映画史上初、アカデミー賞国際長編映画部門ショートリスト入り。製作は『ハッピー・オールド・イヤー』(OAFF2020)、『ふたごのユーとミー 忘れられない夏』(OAFF2023)等で知られるGDH。

お調子者のエムは、なんとか樂にお金を得たいと考え、おばあちゃんの家で同居を始めた。でもおばあちゃんと生活しているうちに考えが変わって行きました。おばあちゃんが亡くなった時、意外な事実がわかります。最後は痛快な話になりました。そして涙も。タイのお墓は亀甲型で沖縄の墓ににているんですね(暁)。

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「第20回大阪アジアン映画祭」(2024)で来日したウシャ・セアムクンさん


公式HPはこちら 
2024年 タイ 125分 言語:タイ語 字幕:日本語
日本語字幕:小河恵理 後援:タイ国政府観光庁
配給:アンプラグド
posted by akemi at 20:07| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年06月07日

ヒットマン リサージェンス(原題:英題:Hitman 2)

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監督・脚本:チェ・ウォンソプ
出演:クォン・サンウ(ジュン)、チョン・ジュノ(ドッキュ)、ファンウ・スルヘ(妻 ミナ)、イ・イギョン(チョル)、キム・ソンオ(ピエール・ジャン)、イ・ジウォン(娘 )

これまでの経験を酔った勢いで作品化し、ようやくヒット作を送り出したウェブ漫画家のジュンだったが、ネタ切れになって酷評が続く。読んでは落ち込み、編集長に送った原稿はダメ出しを喰らうばかり。このままでは打ち切りと通告された。おまけに妻に内緒の借金が膨らんで絶体絶命に陥っている。苦肉の策で、ジュンが悪役になるストーリーをひねり出した。ところが数時間後、漫画をそっくり模倣した事件が発生。当局はジュンに疑いの目を向け、新たな敵も現れる。かつての同僚のドッキュやチョルは、一般人になったジュンを信じ守ろうとしているが、当局の追求は厳しくなるばかり。

2020年に大ヒットした『ヒットマン エージェント:ジュン』の第2弾。前作に引き続き、監督・主要キャストが続投。一人娘も思春期に入り、父親と仲良しだった日々は遠くなっていました。そしてまたもや家族が危険な目に遭い、ジュンは命がけで家族と「祖国」を守るために戦います。
前作より5年ぶりですが、アクションも作品内作品(ウェブ漫画)もパワーアップしました。それで「祖国」の危機を救わねばとなるわけです。かといって重い痛いシーンばかりでなく、ちゃんと笑えるシーンも入ります。そこはチームワークの良いスタッフとキャストのアドリブからも生まれているようです。(白)


2025年/韓国/カラー/シネスコ/119分
配給:アルバトロス・フィルム
(C)STUDIO TARGET, ALL RIGHTS RESERVED.
https://hitman2-movie.com/
★2025年6月13日(金)シネマート新宿ほか全国ロードショー

posted by shiraishi at 11:24| Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ラブ・イン・ザ・ビッグシティ(英題:Love in the Big City)

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監督:イ・オニ
原作:パク・サンヨン「大都会の愛し方」亜紀書房刊
出演:キム・ゴウン(ジェヒ)、ノ・サンヒョン(フンス)、チョン・フィ(スホ)、オ・ドンミン(ジソク)、チャン・ヘジン(フンスの母)

大学生のフンスはゲイであること隠して孤独に生きている。秘密を暴かれそうになったとき、防いでくれたのは同級生のジェヒだった。自由奔放なジェヒは、みんなから浮き気味だが、そんなことは気にしない。自分の生き方を変えるつもりもない。ジェヒは思い切りが良い姉御肌で「私がいなきゃ」とフンスを叱咤激励、互いの都合も良いことから同居を始めることになった。フンスはジェヒの影響を受け、少しずつ変わっていく。

イ・オニ監督のこれまで日本公開された作品は、監督デビュー作の『アメノナカノ青空』『女は冷たい嘘をつく』『探偵なふたり:リターンズ』など、どれも好きだったなぁと思い出します。本作がさらに加わりました。
冒頭は結婚式場で式の開始を待つ2人のやりとり。そこから遡って、お互いに心を許せるまでの紆余曲折を観ることになります。フンスの恋人や実母への告白ができるのかなどなど、行ったり来たり気がもめること。ジェヒはいわゆる可愛い子ちゃんタイプではありません。正反対といえるほど違う二人が、一番理解しあえる相手「親友」に変わっていきます。なんとも羨ましい。
キム・ゴウンさんは安藤サクラさんとよく似ていませんか?あのクシャッとした笑顔に、こちらもつられて笑顔になってしまいます。お二人とも演技巧者。どういう経緯があったのか、インスタにツーショットがありました。まるで姉妹のようです。ノ・サンヒョンはすらりとした長身、アメリカでモデルデビュー。ウェブドラマで俳優業がスタート、本作で青龍賞新人賞を受賞しています。(白)


2024年/韓国/カラー/118分
配給:日活、KDDI
(C)2024 PLUS M ENTERTAINMENT AND SHOWBOX CORP. ALL RIGHTS RESERVED.
https://loveinthebigcity.jp/
★2025年6月13日(金)全国ロードショー

posted by shiraishi at 11:21| Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

親友かよ(英題:Not Friends)

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監督・脚本:アッター・ヘムワディー
プロデューサー:バズ・プーンピリヤ
出演:アンソニー・ブイサレート(ペー)、ピシットポン・エークポンピシット(ジョー)、ティティヤー・ジラポーンシン(ボーケー)、

ある事情で急に転校したペーは、人懐こいジョーの隣の席になった。ジョーは一人でいたいペーにぐいぐい接近してくる。押し切られた形で、彼と友達になった矢先、ジョーは交通事故で亡くなってしまう。
ペーはジョーの文章が評価されていたのを知り、ジョーが遺していたストーリーを借りて、短編映画を作ろうと思い立つ。友情からだけではなく、コンテストに入賞すれば、無試験で大学に入学できると聞いたのだ。ペーは「親友の自分が彼を追悼する」と熱くアピール、学校のパソコンも使わせてもらえるとあって、予想外に助っ人が集まった。同級生のボーケーは、ジョーとは中学からの友達。短い付き合いのペーがジョーと親友というのを疑っているが、ジョーの母を喜ばせたいと映画作りに協力することにした。それぞれが得意分野を担当してペーは監督になったのだが。

日本でもヒットしたタイの青春映画『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』のスタジオが、昨年紹介した『ふたごのユーとミー 忘れられない夏』の主演2 人と再度タッグを組みました。
ジョーの事故の後、過去と現在を交互に見せていきます。前作では双子を一人で演じて驚かせたティティヤーは、今作でペーには壁になります。双子に好かれるハンサムボーイ役だったアンソニーが、今度はわけありの暗い転校生役と、だいぶん雰囲気が違いました。
ジョーはいかにも良い奴です。どんな友情物語になるかと思っていると、ストーリーが二転三転。これはどこに行ってしまうのか?ペーが「映画の作り方を知らない」とボーケーに頭を下げ、やっと映画作りがスタートします。ペーが躓きながらも前進、映画が少しずつ形をなしていくその過程も面白く観ました。(白)


2023年/タイ/カラー/130分
配給:インターフィルム
©2023 GDH 559 Co., Ltd. All Rights Reserved / ReallyLikeFilms
https://notfriends.jp/
★2025年月13日(金)全国ロードショー


posted by shiraishi at 11:20| Comment(0) | タイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

アメリカッチ コウノトリと幸せな食卓  原題:AMERIKATSI

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(C)2023 PEOPLE OF AR PRODUCTIONS and THE NEW ARMENIAN LLC All Rights Reserved.


監督・脚本:マイケル・グールジャン
撮影:ガセム・エブラヒミアン 
編集:マイケル・グールジャン、マイク・セレモン
美術:ネルセス・セドラキアン、アベット・トノヤンツ 
衣装:マロ・パリアン 
音楽:アンドラニク・バーバリヤン
出演:マイケル・グールジャン、ホヴィク・ケウチケリアン

1948年、ソ連統治下のアルメニア
無実の罪で収監されたアメリカ人
彼はただ、生きることを楽しみ続けた


幼少期にオスマン帝国(現在のトルコ)でのアルメニア人に対する迫害から逃れ、アメリカに渡ったチャーリー。それから30年ほど経った1948年、妻を亡くしたチャーリーは自身のルーツを知るためにソ連統治下のアルメニアに戻ってくる。理想の故郷と思っていた地で、チャーリーはスパイと疑われて逮捕され、収監されてしまう。悲嘆に暮れる中、牢獄の小窓から向かいにあるアパートの部屋が見えることを知り、そこに暮らす夫婦を観察することが日課になっていった。いつしかチャーリーは夫婦の生活に合わせてあたかも同じ空間にいるかのように、一緒に食事をし、歌を歌い、会話を楽しんだ。ところが夫婦仲がこじれて部屋には夫だけが残され、時を同じくしてチャーリーのシベリア行きが決まってしまう。移送の期限が迫る中、チャーリーによる夫婦仲直り作戦が始まる―

チャーリーがアメリカからアルメニアに帰ってきたのは、スターリンがお金を出して、各地に離散したアルメニア人の帰還促進を行った一環でした。アメリカの313人を含む約10万人が移住先の市民権を放棄して、希望を胸に帰還したと映画の中で語られていました。家や仕事もあてがわれると期待して帰ってきたのに、スパイ容疑で逮捕されてしまうという理不尽。 牢獄の小窓から見える向かいの部屋の夫も、元は画家ですが、スターリン政府から絵を描くことを禁じられ、監獄の見張り役をさせられているという不遇の身。
その彼が白い布にアララト山の絵を描いているのに触発されて、チャーリーも最初は拾ってきた小石で、後には賄賂を使って紙を手に入れ、アララト山を描きます。アルメニアの人たちにとって、アララト山は心のよりどころ。
アルメニアの乾杯の順序は、1.主賓 2.同席の女性たち 3.アララト山 と、この映画で知りました。
アララト山は、今は残念ながらトルコの領土になっています。かつて、イラン側からとトルコ側からの両方からアララト山を眺めたことがあります。チャーリーの描いた絵は小アララトが大アララトの左側にあって、イランから見たのと同じ。トルコ側からは小アララトが右側になります。
「故郷はどこ?」と聞かれたチャーリー。「ヴァン湖の近くだと思う」と答えています。かつてのオスマン帝国領ですが、アルメニア人が多く暮らす地域でした。ヴァン湖近くの山の上の遺跡にあがった時に、眼下に広大な森があって、森から飛び出すように大きなアルメニア教会が二つ見えました。森になってしまった一帯が、かつてアルメニア人が暮らした地であることを教えてくれました。1915年~16年にかけて、オスマン帝国軍がアルメニア人を追い出してしまって、森になってしまったのだと胸が痛みました。
アルメニアの人たちは、トルコ人が中央アジアからアナトリアにやってくるよりも、ずっと前から東アナトリアから今のアルメニアにかけての地に暮らしていました。映画の中で、「アルメニアは世界で初めてキリスト教を国教にした国」「ワインとビールもアルメニア人の発明」「世界最古の絨毯」「世界最古の天文台」「ドル札の特殊な緑のインクを発明」「聖書を漢訳したのも実はアルメニア人」と、アルメニアの文化の深さがそこかしこで語られます。
チャーリーが覗くお向かいの部屋では、時折、一族郎党が集まって食事する場面が出てきます。中には、子供の最初の歯を祝う「歯の儀式」も出てきました。伝統楽器での弾き語りもあって、アルメニアの文化をぞんぶんに味わうことができました。
マイケル・グールジャン監督の祖父はジェノサイドの生き残り。世界に離散したアルメニア人への思いに溢れた物語。
なお、アメリカッチとは、アルメニア語でアメリカ人のこと。(咲)


2022年/アルメニア、アメリカ/アルメニア語、ロシア語、英語/121分
字幕翻訳:大西公子
後援:駐日アルメニア共和国大使館
配給:彩プロ
公式サイト:https://amerikatsi.ayapro.ne.jp/
★2025年6月13日(金)より TOHOシネマズシャンテほか全国ロードショー



posted by sakiko at 03:14| Comment(0) | アルメニア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする