2021年07月22日

ある家族

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監督・脚本:ながせきいさむ
エグゼクティブプロデューサー:井内徳次
撮影:田宮健彦
出演:川﨑麻世(一ノ瀬泰)、野村真美(一ノ瀬陽子)、寺田もか(一ノ瀬茜)、中西悠綺(柴田悠里)、伊藤真央(岡野 尊)、大城沙耶(染谷花梨)、小泉冠人(小島 蓮)、山川大遥(葉山翔太)、三浦優希(木野崎 愛)、奥仲麻琴(高橋 綾)

平成20年の児童福祉法改正により小規模住居児童養育事業として実施された「ファミリーホーム」。養育者としてホームを経営する一ノ瀬泰・陽子夫妻と、二人の実子である一ノ瀬茜は、家庭環境を失った子ども達と共に暮らしている。育児放棄、いじめ、虐待、障害、就活苦など多種多様な問題を抱える子ども達を自らの家庭に迎え入れ、共に泣き、共に笑い、雨の日も風の日も家族として共に日々を送っていた。しかし、そんな彼ら一ノ瀬ホームの終焉が、静かに、だが確かに近づいていた・・・。

ファミリーホームは「委託」された子どもたちを6人まで養育する「家」です。児童養護施設の小型版といいますか、施設や里親の経験が必要だったり両親(または一方)と補助の大人がいることなど、預かるほうにも条件があります。都道府県に認可を得ると補助があります。里親と違うのは18歳になった子どもは退所することです。国はこのファミリーホームに注力して、将来は今の倍以上に増やす予定のようです。この作品では、預かった子どもたちそれぞれの抱える問題を見せて、みんなで対処する様子が描かれています。親代わりのお父さんは足が不自由、明るく支え続けてきたお母さんに病気が見つかって…。実の娘、預かった子どもたちがワイワイと一緒に育っていく様子に、血のつながりより「思いあうことが家族」だとまたあらためて思いました。
子どもを育て上げるには、経済的な余裕も、大きな責任も必要ですが、映画を観て心が動いた方は今一歩踏み出してみてはいかがでしょう。いろいろな形で、できる支援がきっとあります。

◆参考 日本ファミリーホーム協議会
https://www.japan-familyhome.org/

主演の川﨑麻世さんにお話を伺いました。少しお待ちくださいませ。(白)


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2021年製作/99分/日本
配給:テンダープロ
(C)「ある家族」製作委員会
https://movie.arukazoku.net/
★2021年7月30日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開
posted by shiraishi at 15:03| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年07月18日

ココ・シャネル 時代と闘った女(原題:Les Guerres de Coco Chanel)

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監督・脚本:ジャン・ロリターノ
出演:ココ・シャネル、フランソワーズ・サガン他
ナレーション:ランベール・ウィルソン

1883年8月19日。ガブリエルはフランスの南西部オーヴェルヌの救済院で生まれた。12歳のときに母親が病死。父親は娘たちを孤児院に預けた後、2度と現れなかった。孤児院で裁縫を覚えお針子に。歌手のアルバイトをして持ち歌から「ココ」と呼ばれる。店の客だったバルザンの愛人になり、パリ近郊で暮らした。その友人のアーサー・カぺルと恋に落ちたことで、ココの人生が変わっていく。
機知に富んだココは自立を望み、新しいモードを作り出し、自分の人生を切り開いた。最も裕福な女性と称されるまでになったココ・シャネルのドキュメンタリー。

2021年はココ・シャネル没後50年、そして世界で最も売れた香水「No.5」誕生100年にあたるそうです。彼女の波乱万丈の人生はこれまでにも映画化されて、オドレィ・トトゥ(若いころの本人の写真に似ています)の『ココ・アヴァン・シャネル』(2009)は、若き日から、自分のスタイルを確立し、成功をしっかりとつかむまでを。『ココ・シャネル』(2008)は、第2次大戦終了後、70代で復活したココをシャーリー・マクレーンが、回想部分はバルボラ・ボブローバが演じています。
本作は1時間足らずの中に、ココ・シャネルの一生分をぎゅっとコンパクトにまとめています。ココは、自分が受け入れたくない過去は、自分に合った服を作ったように変えていたようです。忘れたいことにそうやって折り合いをつけたのかもしれません。
戦時下スイスへ脱出し、その後パリに戻ったココ。語られなかったことが近年開示された公文書などで明らかになりつつあります。1971年1月10日、86歳で亡くなった彼女は自分の人生に満足だったでしょうか? 誰よりも先頭に立って闘って、退屈が嫌いだった人なので、とっくに生まれ変わっていたりして。(白)


2019年/フランス/55分/© Slow Production-ARTE France
配給:オンリー・ハーツ
(C)Slow Production, Arte France
http://cocochanel.movie.onlyhearts.co.jp/

後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ
★2021年7月23日(金・祝)よりBunkamuraル・シネマ他にて全国順次公開
posted by shiraishi at 23:30| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ベイビーわるきゅーれ

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監督:脚本:阪元裕吾『ある用務員』
撮影:伊集守忠
アクション監督:園村健介
音楽:SUPA LOVE
主題歌:KYONO「STAY GLOW feat.TAKUMA (10-FEET)」
挿入歌:髙石あかり×伊澤彩織「らぐなろっく ~ベイビーわるきゅーれ~feat. Daichi」
出演:髙石あかり(杉本ちさと)、伊澤彩織(深川まひろ)、三元雅芸、秋谷百音、うえきやサトシ、福島雪菜 / 本宮泰風

女子高生殺し屋2人組のちさととまひろは、高校卒業を前に途方に暮れていた。明日から“オモテの顔”としての“社会人”をしなければならない。組織に委託された人殺し以外、何もしてこなかった彼女たち。突然社会に適合しなければならなくなり、公共料金の支払い、年金、税金、バイトなど社会の公的業務や人間関係や理不尽に日々を揉まれていく。
さらに2人は組織からルームシェアを命じられ、コミュ障のまひろは、バイトもそつなくこなすちさとに嫉妬し、2人の仲も徐々に険悪に。そんな中でも殺し屋の仕事は忙しく、さらにはヤクザから恨みを買って面倒なことに巻き込まれちゃってさあ大変。そんな日々を送る2人が、「ああ大人になるって、こういうことなのかなあ」とか思ったり、思わなかったりする、成長したり、成長しなかったりする物語である。

冒頭はまひろがコンビニ店員に応募して、面接を受けているところです。2人は社会参加もしなければならないんです。はみ出してしまう2人は文句を言いつつ、マネージャー?に従っています(殺し屋登録をしていて、そこから仕事がくるようです)。
阪元裕吾監督の前作『ある用務員』(2021年1月公開)は福士誠治さんが「表の顔は用務員、裏の顔は暗殺者」として初主演を飾った作品です。彼を倒すため大挙登場する殺し屋の中に女子高生コンビがいて目をひきました。その2人が今回の髙石あかりさん、伊澤彩織さん。前作とは名前も違いますが、殺しのスタイルは同じ。今度は主役なので、もっとしっかりたっぷり描かれています。
髙石さんは舞台版「鬼滅の刃」で、竈門禰󠄀豆子(かまど ねずこ)を演じています。黒髪にぱっちりした大きな目でぴったりですね。伊澤さんは現役スタントウーマン、様々な作品のスタントをしてきましたが、台詞のある役は今回が初めてだそうです。
この二人の日常と生業の殺し屋とのギャップが見どころ。だらだら過ごす2人の「女子高生あるある」な台詞、いざ仕事に出たときのアクションがすっばらしい!!髙石さんのガンさばき、反射としか思えない速さを見て!何人もの敵(男性ばかり)を相手に、ぼそぼそ愚痴りながらも戦う伊澤さん、よくぞ見つけ出してくれました。2人を存分に生かした阪元監督&園村健介アクション監督すごい!!
反社会的な2人が社会でどう生きるのか注目です。まずは観てください。「面白かった~!!」と声が出ますよ、きっと。
阪元監督にお話を伺いました。只今絶賛書き起こし中です。少しお待ちください。(白)


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家ではこんな2人


2020年/日本/カラー/ビスタ/95分
配給:渋谷プロダクション
(C)2021「ベイビーわるきゅーれ」製作委員会
https://babywalkure.com/
★2021年7月30日(金)テアトル新宿ほか全国順次公開
posted by shiraishi at 15:08| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

犬部!

7月22日(木・祝)全国ロードショー! 劇場情報 

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(C)2021「犬部!」製作委員会

スタッフ
監督:篠原哲雄
原案:片野ゆか
脚本:山田あかね
エグゼクティブプロデューサー:山田洋二 飯田雅裕  プロデューサー:根本裕美
共同プロデューサー:神保友香 二木大介 堀越大  企画・プロデュース:近藤あゆみ
撮影:鶴崎直樹
音楽:GEN  主題歌:Novelbright
動物トレーナー:ZOO動物プロ
キャスト
花井颯太:林遣都
柴崎涼介:中川大志
佐備川よしみ:大原櫻子
秋田智彦:浅香航大
深沢さと子:安藤玉恵
門脇光子:田中麗奈
久米尚之:螢雪次朗

行き場のない犬や猫のために、人生をかけた若者たちがいた

青森県にある北里大学の獣医学部に実在したサークル「犬部」を元に描いた、青春“犬ラブ”ムービー。捨て犬や捨て猫を救うために、現役の獣医科大学生が立ち上げたサークル「犬部」。SNSがまだ発達していなかった時代、青森県十和田市で行き場を失った犬や猫を保護し、草の根で里親募集や譲渡会を行っていた。
彼らが所属していた獣医科大学では、動物の生体を使った実習が手術の授業として組み込まれていて、獣医師になるためには、動物を安楽死させる=外科実習が避けては通れない道だった。そんな中、「1匹も殺したくない」「生きているものは全部助ける」と訴える学生がいた。「犬部」は彼が中心となって発足。そんな想いに共感した仲間たちは、“犬部”に集って活動を続けた。

22歳の獣医学部の大学生、花井颯太(林遣都)は、子どもの頃から犬が大好きで、一人暮らしのアパートには保護動物がぎっしり。周りから変人扱いされても、目の前の動物たちの命を救いたいという一途な想いで保護活動を続けていた。ある日颯太は心を閉ざした一匹の実験犬を救ったことから、動物の命を救うため、動物保護活動をサークルにすることを思いつき「犬部」を設立した。颯太と同じく犬好きや猫好きの、同級生・柴崎涼介(中川大志)らが仲間となり動物まみれの青春を駆け抜け、卒業後はそれぞれの夢に向かって羽ばたいていった。颯太は動物たちの命を救うため動物病院へ、柴崎は動物の不幸な処分を減らすため動物愛護センターへ。他のメンバーもそれぞれ、開業医や研究者となった。
「犬部」設立から16年後。保護活動を続けていた颯太が逮捕されたという知らせを受けて、開業医や研究者、動物愛護センター所長として、それぞれの想いで16年間動物と向き合ってきたメンバーたちが再集結する。
片野ゆかのノンフィクション「北里大学獣医学部 犬部!」を原案に、『犬に名前をつける日』(15)をはじめ、犬と猫の命をテーマにした映像作品・本を数多く手がけてきた山田あかねが脚本を担当。『影踏み』『花戦さ』の篠原哲雄監督がメガホンを取った。

自然豊かな青森に北里大学のキャンパスが十和田にあるというのは、姪っ子が通っていたので知っていたけど行ったことはなかった。こんなにも広大な自然の中にあるというのは、とてもうらやましく思った。しかし青森のように広い大きな家がたくさんあるようなところでも、捕獲され、保健所送りされてしまう動物がけっこういるということが驚きだった。そして『犬部』である。動物に対する純粋な気持ちを持つ学生たちの気持ちが伝わってくる。
保健所に収容され殺処分にされる動物たちのことを扱った作品は、山田あかね監督の『犬に名前をつける日』や、シネジャスタッフ泉悦子さんの『みんな生きている ~飼い主のいない猫と暮らして~』などに詳しい。いつも乗り降りする駅でも、犬や猫の保護家庭を募集している人たちがいる。いろいろなところで、動物たちを救うために活動しているのを見かける。それほど保護を必要としている動物たちがたくさんいるということなのだろうか。不妊手術をして野に放つというやり方が多いようだけど、人間の都合で動物たちは振り回されている(暁)。


『犬部!』公式HP 
2021年製作/114分/G/日本
配給:KADOKAWA

posted by akemi at 12:10| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年07月17日

夕霧花園  原題:夕霧花園 The Garden of Evening Mists

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監督:トム・リン(林書宇)(『九月に降る風』)
脚本:リチャード・スミス
原作:タン・トゥアンエン(陳團英)
出演:リー・シンジエ(李心潔)、阿部寛、シルヴィア・チャン(張艾嘉)、ジョン・ハナー、ジュリアン・サンズ、デビッド・オークス、タン・ケン・ファ、セレーヌ・リム

1980年代、マレーシアで史上二人目の女性裁判官ユンリン(シルヴィア・チャン)は連邦裁判所事を目指していた。かつて愛した男、謎多き日本皇室庭師の中村(阿部寛)が、とある財宝にまつわるスパイとして指弾されているのを知り、彼の潔白を証明できる証拠を探すことを決意する。
ユンリンにとって、忘れることのできない約30年前の記憶を手繰り寄せる。
1950年代。イギリスの統治が再開されたマレーシア。ユンリン(リー・シンジエ)は戦犯法廷のアシスタントとして働いていた。戦時中、収容所で亡くなった妹の夢であった日本庭園を造りたいと、キャメロンハイランドで活躍する日本人庭師の中村の元を訪ねる。中村は、現在造っている庭園“夕霧花園”で見習いしながら庭造りを学ぶことを提案する。ユンリンは、第二次世界大戦中のことを思い起こす。イギリスの植民地のマラヤ(現在のマレーシア)でユンリンは妹のユンホンと共に日本軍によって強制労働に駆り出されていた。日本は敗戦し、現地人捕虜を収容所ごと焼き払う。ユンリンはただ一人助かり、妹を見殺しにしてしまった自責の念に苛まれ続けていた。日本人に対しても悲しみと憎しみを抱えていたのだが、造園を手伝いながら、どこかミステリアスで孤独な中村に惹かれていく・・・

台湾のトム・リン(林書宇)監督が、マレーシアの作家タン・トゥアンエン(陳團英)の英文小説でブッカー賞ノミネートの「The Garden of Evening Mist」を映画化。
裁判官として活躍するユンリンが、かつて愛した日本人の皇室庭師である中村のスパイ容疑を晴らそうとする中で、時代をさかのぼって過去の出来事が明かされていきます。最後に、ユンリンが日本占領下のマラヤで妹と共に受けた辛い出来事にたどり着き、胸を締め付けられる思いがしました。中村が造る夕霧花園に秘められた謎にもぞくぞくさせられました。中村を演じた阿部寛、はつらつとした裁判官を演じたシルヴィア・チャン、どちらもとても素敵です。(咲)


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トム・リン監督(2020.3大阪アジアン映画祭リモート挨拶 オープニングにて)

昨年の大阪アジアン映画祭オープニング作品。昨年3月はすでにコロナの影響で、海外からのゲストは来日できず、トム・リン監督はリモートで登場。東京や名古屋からいつもこの映画祭に参加するメンバーも私の周りでも数人来ませんでした。でもこの作品、けっこう人が入っていました。
作品の内容的には、いろいろなことが入り込み、人間関係とか登場人物の関係性とか複雑で、もう一度見ないと消化不足という感じで終わっていたので、それから2年余り、再度見て、関係性、マラヤの当時の状況、今日の状況とか、いろいろなことが繋がってきて、胸の中にあったモヤモヤを解消することができた。それにしても、時代背景、マラヤでの日本軍のこと(太平洋戦争時の日本による支配)、イギリス植民地時代の影響など、いろいろなことが絡まっていて、人間関係の前に、そういう時代背景を理解して、日本人、イギリス人とのかかわりなども含めて、物語は語られている。それにしても日本人庭師というのがマラヤで活躍していたという背景、やはり不思議だなと思う。現在のマレーシアは、マレー系、インド系、中華系の民族からなる国になっているが、その融和というのが一番の課題なのだろう。
私が1990年、初めての外国、オーストラリアに行った時、マレーシア航空で行ったので、最初に降り立ったのがマレーシア・クアラルンプールだった。そこで1日街中を歩きまわった時、インド人街、マレー人街、中国人街と、はっきりと住む街が分かれているのに驚いたが、それはマレーシアの歴史から来たものだった。その時は知らなかったけど、ヤスミン・アフマド監督の『細い目』でマレーシアの人種構成、人種間の距離というのを知った。この映画はさらに、台湾のトム・リン監督が製作した作品ということで、また、マレーシア在住の華人とは思いが違うかもしれない(暁)。

台湾・金馬奨最優秀スタイリングデザイン賞
2020年大阪アジアン映画祭オープニング作品

2020年/マレーシア/120分/カラー/ビスタ/5.1ch
字幕:川喜多綾子/字幕監修:山本博之
配給:太秦
公式サイト:http://yuugiri-kaen.com/
★2021年7月24日(土)より渋谷ユーロスペースほか全国順次公開


posted by sakiko at 19:18| Comment(0) | マレーシア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする